20代~50代の貯蓄と負債「働く世帯」の現実。資産を増やすヒントとは
LIMO / 2021年12月29日 17時50分
20代~50代の貯蓄と負債「働く世帯」の現実。資産を増やすヒントとは
2021年も年の瀬です。
古い友人へ年賀状の準備をしていると、つい学生時代のことを思い出しませんか? 当時は大人になるとお金を稼ぎ、自由にお金の使い道を決められると憧れていた気がします。
実際には、働けど働けど、なぜか余裕がないという方も多いかもしれませんね。
働く世代にとって、年収と貯蓄が比例しない現状には焦りが感じられるもの。住宅や車の購入費、そして子どもの教育費で、毎月支出が膨らみます。
しかし、住居費や教育費から解放されると、今度は老後費用が待ち構えます。一朝一夕には作れない老後資金。どのように作っていけばいいのでしょうか(※編集部注)。
今回は働く20代~50代のお金事情を追うことで、年代別の貯蓄事情を紐解きます。私たちが老後を考えるときのヒントとなるでしょう。
【※参考記事】50歳を超えてから「月30万円の不労所得」を作る4つの方法(https://limo.media/articles/-/24980)
「勤労世帯」貯蓄と負債が丸わかり!
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」を参考に、まずは「二人以上世帯全体」と、そのうちの「働く世帯」に分けて平均をつかみましょう。
二人以上世帯の貯蓄・負債額
貯蓄現在高平均:1791万円
負債現在高:572万円
世帯主の年齢:59.5歳
二人以上世帯のうち、勤労者世帯の貯蓄・負債額
貯蓄現在高平均:1378万円
負債現在高:851万円
世帯主の年齢:49.7歳
全体の結果に比べると、勤労世帯の貯蓄は少なく負債が高いことに。高齢者を含まない勤労世帯では、まだまだ住宅ローンなどに追われる様子がわかります。
子どもの年齢によっては、教育費が圧迫してなかなか貯蓄に回せない家庭もあるでしょう。
年代ごとに見る「貯蓄額と負債額」
次は働く世代を年齢ごとで区切り、その特徴をさぐってみましょう。
~29歳「勤労世帯」
貯蓄額平均:377万円
負債額平均:693万円
(うち、住宅・土地のための負債平均:634万円)
30代「勤労世帯」
貯蓄額平均:750万円
負債額平均:1337万円
(うち、住宅・土地のための負債平均:1266万円)
40代「勤労世帯」
貯蓄額平均:1071万円
負債額平均:1200万円
(うち、住宅・土地のための負債平均:1132万円)
50代「勤労世帯」
貯蓄額平均:1681万円
負債額平均:692万円
(うち、住宅・土地のための負債平均:627万円)
年齢を追うごとに貯蓄額が上がるのに対し、負債額のピークは30代です。ただし貯蓄額が負債額を上回るのは、50代になってからのようですね。
どの年代でも、負債のほとんどは住宅ローンが占めているのも特徴です。
勤労世帯、ほんとうの貯蓄額は?
最後に「貯蓄額」から「負債額」を引くことで、「純貯蓄額(=ほんとうの貯蓄額)」を算出しましょう。
~29歳:377万円-693万円=マイナス316万円
30代:750万円-1337万円=マイナス587万円
40代:1071万円-1200万円=マイナス129万円
50代:1681万円-692万円=989万円
やはりマイナス額が一番多いのは30代のようです。住宅購入という大きなライフイベントは30代で迎えることが多く、40代から50代に向けて返済額を減らしていけるでしょう。
50代ではようやくプラスに転じるので、家計に余裕が生まれるかもしれません。子どもの年齢によっては、子どもの教育費からも解放されますね。
老後資金はすぐに作れない
ただし、お金に余裕が生まれたタイミングで老後資金の準備を始めるのは、少し遅いかもしれません。
老後には年金以外に2000万円が必要だという意見もありますが(※図)、家庭によってはもっと必要になることもあるでしょう。住宅ローンの完済や子供の独立のあと、数年でこれほどの金額を貯めるのは難しいものです。
将来のことを考えると、現役時代からコツコツと準備することが重要になります。負債を抱えたまま貯蓄がなかなか増えないなら、家計の見直しや資産運用などに視野を広げるといいでしょう。
家計見直しのコツ
家計を改善する場合、食費などの変動費を抑えるのはおすすめできません。ガマンで得られる節約は結果に結び付きにくく、さらに健康を害するリスクもあるからです。育ち盛りの子どもがいるなら、食育には力を入れたいですよね。
通信費や保険料、光熱費の基本料金部分など、いわゆる「固定費」と呼ばれるものから見直しをしましょう。電気やガスはプランだけでなく供給会社を自由に選べるようになったので、シミュレーションしてみるといいですね。
また保険では、加入したままだと不要な保障が残っている可能性もあります。ライフサイクルに合わせ、適宜見直しをしましょう。この時「貯蓄タイプ」の保険を選べば、保障と貯蓄の両立ができるかもしれません。
資産運用のコツ
資産運用をする上では、「長期・分散」での投資がカギになります。できるだけ早く始める方が、リスクを軽減できるということです。
老後も資産運用を続けることで、資産を取り崩しながら複利で増やすことができます。一つの金融商品に短期で投資するのではなく、投資信託などで分散させていけると理想的でしょう。
いずれにしても、正しい情報を手に入れることが大切です。老後の資産は安定して育てる必要があるので、間違った情報に惑わされないよう、しっかり情報収集していきたいですね。
参考資料
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」Ⅰ「貯蓄の状況、Ⅱ「負債の状況」第8-5表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1&tclass4val=0)
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