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Z世代と親世代で「職場コミュニケーション」の定義に差 3年以内転職を回避するトリセツ

LIMO / 2023年12月6日 20時35分

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Z世代と親世代で「職場コミュニケーション」の定義に差 3年以内転職を回避するトリセツ

Z世代は飲みコミュニケーションを必要と思っていない? 研修で不満が出ることもある職場の会話

近年、3年以内に離職する人が多く、経営者や採用担当・人事が頭を悩ませる問題になっています。企業の数に対して、人材不足が言われている昨今、戦力になりそうな人材や即戦力の人材は貴重です。

そのため、各企業が採用に多大なコストをかけて、「いい人材」とされる人を得られるように競争する状況が生まれています。早期に転職されてしまっては、教育コストのみならず採用コストもかさみ、大きな損失になってしまうということです。

「どのようにすればZ世代の離職を減らせるか?」はSNSを見る限りでも、多く議論されています。そこで、LIMO・U23編集部では、先輩から聞く話なども交えつつ、離職率につながっているであろう「コミュニケーションの齟齬」について論じていきます。

Z世代が「職場コミュニケーションではない」と思っていること

出所:LIMO・U23編集部作成

飲み会で話をする

忘年会を実施する企業は多いですが、忘年会も日ごろ実施されるものも、飲み会は基本的にプライベートの時間。ライフワークバランスを重視するZ世代のなかには、飲み会なしで職場コミュニケーションを図りたいと望んでいる人も。

それだけでなく、若手にとって苦痛な時間になりがちです。飲み会の場では、ついつい上司の態度が大きくなり、部下が遠慮してしまうということがあるからです。

そのとき、上司と部下の会話と言うよりも、上司の一方的な話を聞いているだけになることもしばしば。

特に、上司の「若い時は~」という苦労話や「知り合いが有名人で~」といった自慢話は、「上司を満足させる」「満足させるまで話を聞く」というZ世代にとっては。この状況は「コミュニケーション」とはいえないでしょう。

さらに「恋人いそう・いなさそう」というような、セクハラになる発言も出てくるため、いわゆる「飲みニケーション」を避ける人もいます。

また、これまで恋愛至上主義といわれてきましたが、社会変化によって価値観が大きく変わってきました。楽しめる娯楽が増え趣味に興じる人もいれば、将来の貯蓄に不安を覚え、恋愛や結婚を避ける人もいます。

ジェネレーションギャップを埋めるのは難しいことですが、お互いに気持ちよく話せる環境が整ってこそ、コミュニケーションは成立するのでしょう。

プライベートの話をする

setory/istockphoto.com

話してもいいプライベートな話題と、公私混同させないために話したくない話題がある人は多く、Z世代の間ではかなり慎重に会話が交わされる傾向があります。

プライベートに仕事を持ち込みたくないのと同様に、仕事にプライベートの事情を持ち込みたくない気持ちは、筆者にもよくわかります。プライベートの話で偶然気が合って、上司から休日のお誘いを受けると、断ることもできずストレスにつながりかねません。

Z世代は、仕事の外での深い関係性を求めていないことがわかります。

また、プライベートの話をして、価値観の違いから否定されることを避けたいという理由も考えられます。そうならないように、プライベートの話は気の合う友人とだけで話し、上司にはしたくないZ世代は多いのではないでしょうか。

仕事の自慢話をする

飲み会でも好ましく思われないことが多い自慢話。アドバイスのつもりでZ世代に自慢話だと捉えられてしまうことがあります。

すごい上司だと思われたいという気持ちなどを敏感に察知してしまうため、客観的なアドバイスではなく、主観的な要素が多いとゲンナリしてしまうことも。

Z世代と目上の人たちでは、育った環境やおかれた環境が異なります。アドバイス自体が、時代錯誤に感じてしまうこともあります。

そして、一度、今使えるアドバイスではなく、自分の経験談を延々と語っているように捉えられてしまうと、アドバイスではなくただの自慢話に聞こえてきます。

本当に届けたい思いがあったとしても、残念ながら響かなくなってしまうかもしれません……。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

Z世代が思う職場コミュニケーションとは

出所:LIMO・U23編集部作成

進捗を聞いてアドバイスをしてくれる

「言いたいことがあるのに、怖い顔で忙しそうに作業していて声が掛けられない......」

「せっかく上司に報告や相談したのに、怒られた......」

一度このようになると、次からはその上司には言いにくくなってしまいます。

仕事に追われている人の中には、「話しかけないでほしい」と思っている人もいるはず。その空気はZ世代に伝わっています。逆に進捗を聞いてくれると、心理的安全性が高まり仕事がはかどります。

大事なことは「ほうれんそうのおひたし」です。部下からの「報告」・「連絡」・「相談」に対して上司は、以下が重要です。

お:「怒らない」

ひ:「否定しない」

た:「助ける」

し:「(必要な時には)指示する」

とくに、相談したことに対して助言や指示がないと、「相談しても意味がない」と思ってしまいます。そうなると、職場コミュニケーションが成り立っているとは言えません。

また、相談しなかった重大な問題が発生し、さらに時間に追われてしまう可能性もあります。

Z世代が相談するのには、何かしらの理由があります。そのため、Z世代が「ほうれんそう」をしたときには、まずしっかり聞いてほしく、そのうえでアドバイスがほしいのです。

わからないことや不安なことはないか聞いてくれる

emma/istockphoto.com

上司には悩み事を言い出しにくいこともあるため、適度なタイミングでわからないことや不安なことを聞いてほしいという意見もあります。

あまり仕事に慣れていない立場からすると、些細な悩みなのか相談していい悩みなのか判断がつかないことがあるからです。

気にかけてくれていることがわかると安心するため、悩み事を言いやすくなります。「この人なら相談しやすい」と思える人だと、職場コミュニケーションを取りたいと思えます。

些細な悩みでも相談しやすい環境ができると、結果的に離職率の低下につながるのではないでしょうか。先輩たちが仕事を辞めた話を聞くと、仕事に付随する悩みを払しょくできず収集がつかなくなってしまっていることが多いと感じます。

上司からは「もっと早くに相談してほしかった」といわれるそうです。しかし、大体そのサインは出しているようです。場合により相談もしています。

どの程度悩んでいるのか感覚をつかむことができず、些細なものだろうと判断して、コミュニケーションを十分に取らなかったことが大きな要因ではないでしょうか。

仕事のオフレコ話をしてくれる

上司からの自慢話で尊敬するZ世代はあまり多くありませんが、人を尊敬しないわけではありません。尊敬する人を聞くと、アルバイト先の先輩や店長の話が出てくることはよくあります。どんなところで尊敬の念を抱くかは人によります。

ですが、仕事のノウハウを教えてくれたり、そっとフォローしてくれたりと、自慢するまでもなく裏付けされたような自身と余裕があると、尊敬することがあるようです。

また、プライベートな話を避ける人が多いZ世代ではありますが、仕事の話であればプライベート感のある話題は大歓迎であることが多いです。

たとえば、その会社の肩書を持つ人として公には話せない仕事に対する私的感情。あるいは、「自分も昔かなり失敗した」や「会社ではこういう話がされているけれど、ぶっちゃけほとんどの人はこうしているよ」のようなオフレコの話をしてくれる人は、行き過ぎた話やネガティブな話でなければ、ありがたい存在です。

もっとも、経営者にとってはやめてほしい部分もあるかもしれません……。

3年目転職を回避! Z世代にも「褒め」は大事

出所:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」(http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001158687.pdf)

厚生労働省2023年10月20日に発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%、新規大学卒就職者が32.3%と3割を超えています。

このように、社会人3年目までの離職率がことが高いことが近年では問題になっています。再雇用をするにしても、採用コストがかさむばかりです。また、せっかく教育コストをかけたにもかかわらず無駄になってしまいます。

3年目で転職を考える人の中には、「研修期間は褒めてもらえるのに、いざ本格的に仕事に取り掛かると褒めてもらえない」「自分が必要とされているのかわからず、モチベーションが上がらない」といった理由を挙げる人も結構います。

「Z世代は無用なコミュニケーションを避けたがる」というのは、半分正解で半分不正解だと思います。上司から、やる気が上がるような声掛けや褒めの言葉があると、転職を考えることも減るのではないでしょうか。

Z世代とY世代でコミュニケーションの定義に齟齬がある傾向

Z世代にとって、コミュニケーションは、その人との関係性の中で行われるやり取りだと考えられます。SNSなどでさまざまな人と繋がれる環境が当たり前の中で育ったため、話によって相手をかえている人が多いように感じます。

そのため、職場でのコミュニケーションでは仕事に関わることを大切にしていて、プライベートなど他の領域のことにはあまり触れられたくないのでしょう。仕事の中で、その人の人間性や感性がわかると、関係性が深まってくるはずです。

一方、Y世代では職場仲間も身の回りの人として、さまざまなことを共有したいと考えているのかもしれません。

職場コミュニケーションをとっているつもりで、新人研修アンケートなどで「コミュニケーションが不足していた」と書かれてしまうのは、定義の違いによるものではないでしょうか。お互いの考え方を尊重して、気持ちの良いコミュニケーションをとれるようにしたいですね。

参考資料

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html)

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