【老人ホーム】年金ひと月5万円+貯蓄1000万円「認知症母83歳」が入れる介護施設はある?【最新版 年金一覧表つき】
LIMO / 2024年1月29日 7時30分
【老人ホーム】年金ひと月5万円+貯蓄1000万円「認知症母83歳」が入れる介護施設はある?【最新版 年金一覧表つき】
認知症の親を自宅で介護するのは大変なことで、介護を担う子どもが「もう限界……」と感じることも多いのではないでしょうか。
子どもの心身の健康を考えるなら、まずは親を介護施設に預けることを検討するようにしましょう。
その際、認知症の親が持っている「年金月額5万円+貯蓄1000万円」を使って施設を探す場合、どのような施設に入ることができるのでしょうか。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
親の口座にまとまったお金があっても「認知症」の場合お金が引き出せない……。
認知症の親が介護施設に入居するには、まとまったお金が必要です。かかる費用は「親の貯蓄で賄いたい」というのが子どもの本音なので、親が「年金月額5万円+貯蓄1000万円」あるのは心強いといえるでしょう。
とはいえ、親名義の口座からお金を引き出すには、本人(親)が「引き出したい」という意思を伝えなければいけません。しかし、親が認知症であるなら、そのような意思を示すことができず「お金があっても使えない……」という状態になってしまいます。
銀行側からは、認知症になった親の口座からお金を引き出す方法として、裁判所が認めた「成年後見人」を立てることを勧められるでしょう。
成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などのようにひとりで契約やその他の手続きが難しい方が、財産管理や契約行為を成年後見人にサポートしてもらう制度です。
成年後見人には親族でも大丈夫?手続きにはどのくらい期間がかかる?
認知症の親に成年後見人を付けるには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
成年後見人には、家庭裁判所が、本人への保護・支援の必要性、個々の事情を判断して、適した人を選任します。具体的には、親族、法律・福祉の専門家、その他の第三者、福祉関係の公益法人などの中から選ばれます。成年後見人には親族もなれますが、あくまでも家庭裁判所が適任であると判断した場合に限ります。
もしかしたら、許可されないことがあったり、後見人になったとしても、正しく後見業務ができているかを監督する「監督人」が付いたりすることがあります。
なお、誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることができません。
また、成年後見人の申し立てを家庭裁判所に行ってから、さまざまな手続きを経て法務局での後見登記をされるまで一般的に3~5か月ほどかかります 。
このように、親が認知症であれば、たとえ親の口座にまとまったお金があったとしても、簡単に引き出せません。子どもが「在宅介護はもう限界…」となってから諸々の手続きを行うのではなく、ある程度の段階で、子どもが親の金銭管理をする状態に備えておくことが必要でしょう。
「任意後見制度」や「家族信託」で備える
子どもが親の金銭管理を法的に行うには、親が元気なうちに「任意後見制度」または「家族信託」のどちらかの契約を交わしておけば、その後の財産管理ができるようになります。それぞれについて以下に説明します。
任意後見制度
任意後見制度とは、本人の判断能力があるうちに、あらかじめ自分が選んだ人(任意後見人)に、自己の生活、財産管理や介護サービス締結などの手続きを依頼して、契約(任意後見契約)を交わしておく制度です。
この契約を任意後見契約といい、委任する内容は公証人の作成する公正証書に定められます。
家族信託
家族信託とは、本人の財産(不動産・預貯金・有価証券等)を、信頼できる家族などに託して、財産管理を行う制度です。
家族信託の契約には「委託者」「受託者」「受益者」の3者を定めて契約します。今回の親と子が該当するのは、以下のとおりです。
「委託者」=財産のもともとの所有者(親)が該当
「受託者」=財産の管理運用処分を任される人(子)が該当
「受益者」=財産権を持ち、財産から利益を受ける人(親)が該当
これより、子が親の意向に応じて親の財産を、柔軟に活用することができます。
高齢になれば誰もが認知症になるリスクを抱えています。子どもが親の介護に限界を感じたとき、一時的でも金銭的な負担を強いられることは避けたいものです。そうならないためにも、早いうちから、いずれかの方法で準備しておくことが大切です 。
月額5万円で入れる介護施設はあるの?
認知症の親の貯金を引き出すには、成年後見人を立てる必要があり、その手続きには3~5カ月ほどかかります。
その間の子どもの金銭負担をなるべく減らすには、入居時の費用が低く抑えられる国や地方自治体、社会福祉法人などの公的機関が運営する「介護施設」で探すとよいでしょう。以下に公的介護施設を2つ紹介します。
特別養護老人ホーム
入浴、排せつ、食事などの介護、入居者の日常生活の世話などを行う施設です。入居対象者は、65歳以上で、要介護3以上の方という条件(※)があります。
利用料は、所得や要介護度により異なりますが、一般的に5~15万円の範囲です。
※ただし例外あり
介護医療院
要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。利用料は、所得や要介護度により異なりますが、一般的に10~20万円の範囲です 。
公的な介護保険施設は、国の補助金などを受けて設立されており、社会福祉の観点から、介護度の重い方、低所得者の方などを幅広く支援することを目的にしています。
公的に補助があるので入居費用が安いという特徴がありますが、人気が高く、すぐには入居できない場合があります。
まとめにかえて
認知症の親を子どもが自宅で介護するのは大変で、多くの場合、限界を感じる時期が来るのではないでしょうか。
そのような中、次のステップまでの期間が長いと、精神的負担が大きく、健康を害してしまうこともあるでしょう。
気持ちに余裕があるときから、ケアマネジャーや地域包括支援センターの窓口に相談しておきましょう。
ご参考【最新版一覧表】国民年金・厚生年金「シニア世代の受給額事情」(出所:厚生労働省年金局)
国民年金の一覧表
国民年金(老齢基礎年金)の受給額
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
〈男性〉平均年金月額:5万8798円
〈女性〉平均年金月額:5万4426円
受給額ごとの人数
1万円未満:6万5660人
1万円以上~2万円未満:27万4330人
2万円以上~3万円未満:88万1065人
3万円以上~4万円未満:266万1520人
4万円以上~5万円未満:465万5774人
5万円以上~6万円未満:824万6178人
6万円以上~7万円未満:1484万7491人
7万円以上~:178万3609人
厚生年金の一覧表
厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
〈男性〉平均年金月額:16万3875円
〈女性〉平均年金月額:10万4878円
受給額ごとの人数
1万円未満:6万1358人
1万円以上~2万円未満:1万5728人
2万円以上~3万円未満:5万4921人
3万円以上~4万円未満:9万5172人
4万円以上~5万円未満:10万2402人
5万円以上~6万円未満:15万2773人
6万円以上~7万円未満:41万1749人
7万円以上~8万円未満:68万7473人
8万円以上~9万円未満:92万8511人
9万円以上~10万円未満:112万3972人
10万円以上~11万円未満:112万7493人
11万円以上~12万円未満:103万4254人
12万円以上~13万円未満:94万5662人
13万円以上~14万円未満:92万5503人
14万円以上~15万円未満:95万3156人
15万円以上~16万円未満:99万4044人
16万円以上~17万円未満:104万730人
17万円以上~18万円未満:105万8410人
18万円以上~19万円未満:101万554人
19万円以上~20万円未満:90万9998人
20万円以上~21万円未満:75万9086人
21万円以上~22万円未満:56万9206人
22万円以上~23万円未満:38万3582人
23万円以上~24万円未満:25万3529人
24万円以上~25万円未満:16万6281人
25万円以上~26万円未満:10万2291人
26万円以上~27万円未満:5万9766人
27万円以上~28万円未満:3万3463人
28万円以上~29万円未満:1万5793人
29万円以上~30万円未満:7351人
30万円以上~:1万2490人
参考資料
厚生労働省 成年後見はやわかり「ご本人・家族・地域のみなさまへ 法定後見制度における成年後見人等選任方法」(https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/legal_guardianship/appoint_guardians/)
厚生労働省 成年後見はやわかり 「ご本人・家族・地域のみなさまへ 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)」(https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/)
法務省「家族信託とは?」(https://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/content/001354479.pdf)
厚生労働省「介護医療院とは?」(https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/about/)
外部リンク
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