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魚沼コシヒカリ「特A」陥落の一方、台頭した新興ブランド米の産地はどこ?

LIMO / 2018年4月3日 11時50分

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魚沼コシヒカリ「特A」陥落の一方、台頭した新興ブランド米の産地はどこ?

28年間で初の格下げはブランドイメージ再強化の好機に

28年間「特A」維持の魚沼コシヒカリが初のランクダウン!

日本穀物検定協会は毎年(時期は概ね2月末~3月初)、その前年に獲れた国産米について食味ランキングを公表しています。

今年2月28日に公表された「2017年産米の食味ランキング」では、大きなサプライズがありました。それは、日本を代表する最高級米の1つとして知られている新潟県の魚沼コシヒカリ(注)が最上級の「特A」から「A」に格下げとなったのです。

魚沼コシヒカリは、当該ランキングが現行制度になった1989年以降、実に28年連続で「特A」の評価を得た唯一のコメでした。これが初のランクダウンになります。

(注)一般的に「魚沼産コシヒカリ」という呼称が浸透していますが、日本穀物検定協会の公表に合わせて「魚沼コシヒカリ」とします。

国産米の食味ランキングの審査方法とは

ここで国産米の食味ランキングについて簡単に説明すると、代表的なブランド米を特A、A、A´、B、B´の5段階で評価するものです。

しかし、実際にはBやB´と評価されることは稀です。さらに、特AとAが占める割合が常に高く、今回発表されたランキングもこの2つで全体の79%を占めています。実質的には、「特A」の評価を競うランキングかもしれません。

また、その審査にあたっては、当該協会において選抜訓練した専門の評価員である20人の食味評価エキスパートパネルにより、白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について評価されると公表されています。その審査手順を見ると、使用する炊飯器まで開示されるなど、公正性や透明性をアピールしているのが感じられます。

ただ、審査結果については結果のみが公表され、その詳細(各項目についての評価、順位など)は一種の“ブラックボックス”になっているのも特徴です。

魚沼コシヒカリのブランド力は侮れず

さて、そんな感じで公表される国産米の食味ランキングですが、多くの一般消費者にとってはほとんど関係ないのではないでしょうか。

「特A」の評価を受けたブランド米しか食さないというこだわりのある人もいるかとは思いますが、おそらく、圧倒的少数と思われます。特に、外食や中食(コンビニ弁当など)が中心の人にとっては、ランクがどうであるかは関心外というのが実情でしょう。

しかしながら、「魚沼コシヒカリ」というブランド力は、ある種別格のものがあります。コンビニでは「魚沼産コシヒカリ」を前面に出した商品も数多くあります。

また、筆者が昨年末に新潟に行った際、飲食店で食した魚沼コシヒカリは本当に美味しいと感激したのですが、“魚沼コシヒカリだから美味しく感じてしまった”ということは否めません。もし、最初から魚沼コシヒカリという名前を聞いていなかったら、同じような感動を覚えたかどうか自信がないのも事実です。

新潟で食べたタレカツ定食のご飯は魚沼コシヒカリ

今回のランクダウンは青天の霹靂!?

一方、生産者にとっては極めて重要な問題です。それは、この食味ランキングはブランドイメージに直結すると考えられるからです。

今回、初のランクダウンを受けて、魚沼コシヒカリの中心産地である南魚沼市(新潟県)では、県や魚沼地域の自治体関係者、農協職員、生産者らが集まって「魚沼米食味対策検討会議」を発足させています。

また、新潟県の米山隆一知事も「理由が不透明。明かせるところは明かせるように要請したい」と苛立ちを隠せなかったと報じられています。ランクダウンが青天の霹靂だったであろうことを物語っています。

では、今回なぜ魚沼コシヒカリは28年も続いた「特A」からランクダウンしてしまったのでしょうか?

前述の通り、審査結果の過程や詳細は開示されないため、ランクダウンした理由はわかりません。しかし、結果公表後に見せた関係者の慌てぶりを見る限り、油断があったのではないかとも推測されます。

確かに、28年間も続いてきたのならば、“今年も間違いないだろう”と楽観視していた関係者が多くいたとしても不思議ではないでしょう。

コンビニには「新潟魚沼産コシヒカリ」を打ち出したおにぎりも

新興ブランド米の躍進が目立った今回の食味ランキング

一方、今回の審査結果では、「とちぎの星」(栃木県)、「森のくまさん」(熊本県)などの“新興ブランド米”が新たに「特A」を獲得・回復しており、「森のくまさん」に至っては前年の「A´」からの2段階アップとなりました。

さらに、「彩のきずな」(埼玉県)のように“初登場”でいきなり「特A」評価を獲得したブランド米も散見されます。

これらのブランド米の関係者(生産者含む)は、味の改良はもちろんのこと、「特A」を獲得するために何らかの研究・対策を講じていたのではないでしょうか。

今回の結果は魚沼コシヒカリのさらなる飛躍の好機に

こうした“努力”を、魚沼コシヒカリの関係者が絶え間なく行っていたのかどうか、もう一度見直すことが重要でしょう。単なる油断だったのか、それ以外の理由だったのか検証することも必要ではないでしょうか。

ただ、一度「特A」から外れたとはいえ、長年にわたって築かれた「魚沼コシヒカリ」のブランドイメージが簡単に崩壊するとは思えません。むしろ、今回の初のランクダウンを糧にして、さらなる品種改良などに取り組めば、ブランド力はいっそう強化される可能性があります。

関係者による今後の対応、そして、来年のランキング結果に注目したいと思います。

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