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昇給率の低い日本は外国人労働者に選ばれる国なのか?

LIMO / 2019年2月23日 9時15分

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昇給率の低い日本は外国人労働者に選ばれる国なのか?

「ヘイズ アジア給与ガイド」に見る雇用実態

少子高齢化に伴う労働人口の減少で、深刻な人手不足に直面している日本。2018年6月、政府は経済財政諮問会議で「2025年までに50万人を超える外国人労働者の受け入れを目指す」と発表し、早急に労働力不足を解消しようとしています。一方、政府が外国人労働者受け入れ拡大を決めたことで、「移民が増える」「治安が悪くなるのでは?」といった懸念も出ています。

かつて外国人労働者と言えば、タイやフィリピン、ベトナムなど主に東南アジア圏から、祖国の家族に仕送りをするために日本に出稼ぎに来るイメージが強くありました。他のアジア諸国に比べて日本は労働賃金が高く、働きやすかったからでしょう。

しかし、今でも日本は外国人労働者にとって「働きたい」と思われている国なのでしょうか。

他のアジア圏に比べ、昇給率の低い日本

グローバル人材紹介会社最大手であるヘイズ・ジャパンは、日本・中国・香港・シンガポール・マレーシアの15業界・1244職種の給与水準(実績ベース)と、従業員5000人超を対象に実施した雇用の実態調査を実施。2月7日には、ヘイズ・ジャパンのマネージングディレクター、マーク・ブラジ氏が登壇し、調査結果をまとめた「ヘイズ アジア給与ガイド」の記者発表会が行われました。

「ヘイズ アジア給与ガイド」はヘイズが2008年から毎年刊行しているもので、今回で12年目となります。その結果を見ると、まず、昨年1年間の昇給率は日本が調査国の中で最も低く、「3%以下」と回答した人が約半数もいました。他のアジア圏では、3人に1人以上が「3~6%」と回答しています。

また雇用主を対象に調査した2019年の昇給予測についても、日本は「6%以上」はわずか6%、「3%以下」が52%と高い割合でした。一方他のアジア圏では、「6%以上」は17%、「3%以下」は32%、「3~6%」(38%)が最も多い回答となり、日本が他のアジア圏と比較しても昇給率が低いことが浮き彫りになっています。

ハイスキル人材や女性管理職は海外に流出?

専門業種に関する調査では、「必要なスキルを持った人材を採用できないだろう」と回答したのは日本が61%、アジアが45%、また「ビジネスの目的を達成するために必要な人材がいない」と回答したのは日本が54%、アジアが33%。いずれからも、日本のスキル不足が深刻であることがわかります。

特に、AIやIoT、ビッグデータなどのトップIT人材においては、海外の企業は昇給率が前年比9割増を超えるケースもあるなど、優秀な人材には高額な報酬が支払われています。管理職レベルの人材に対する諸企業の給与を見てみると、日本は中国に倍近く差をつけられるケースもありました。

女性管理職の割合も、日本は19%であるのに対し、アジアでは30%。また日本では49%が「差別が仕事に悪影響を与えた」と回答しました。これは、妊娠や出産、子育てといったライフイベントとキャリアアップの両立が、女性にとって非常に困難であることを示しています。

このままでは、高度なスキルを持っていたり男女問わず管理職を任せられたりする優秀な人材が、今後は日本から海外に流出する可能性も十分にあるでしょう。日本が人材獲得競争において他のアジア圏から遅れを取っていることが如実に現れた結果となりました。

日本はアジア諸国から憧れられる国ではなくなっている!?

こうした結果から、日本はかつての「アジア諸国の労働者が仕事をするために行きたい国」とは言い難くなっている現状がわかりました。受け入れの門戸を開いたとしても、手をこまねいているばかりでは外国人労働者が集まらないことも予想されます。

多文化や柔軟なワークスタイルの受け入れ、様々なハラスメント対策、男女や役職を問わない育休や産休取得率のアップ、スキルやパフォーマンスに応じた報酬制度、高度スキルを持った人材の育成など、労働力不足に悩む日本企業が対処しなければいけない問題は山積しています。

早急に対策を講じなければ、外国人労働者が集まらないどころか、日本から諸外国へと優秀な人材がどんどん流れていくことは時間の問題と言えそうです。

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