アマゾン撤退!フードデリバリーサービスの勝者は!?
トウシル / 2019年6月13日 15時0分
アマゾン撤退!フードデリバリーサービスの勝者は!?
アマゾンがフードデリバリーサービスから撤退
アマゾン・ドット・コム(AMZN)は米国で展開していたフードデリバリーサービス「アマゾン・レストランツ」を6月24日に終了することを明らかにしました。同サービスは、ユーザーそれぞれの自宅の近所にあるレストランから料理を宅配するサービスで、アマゾンのサービス自体はやや苦戦していましたが、こうしたサービスは米国では非常によく使われているものです。
同社の発表によると、サービス終了に伴う社員への影響は限定的とのことで、業績への大きな影響もないようですが、アマゾンは同サービスを積極的に推進していただけに、今回の撤退は正直驚きです。
ただ、私も昨年まで米国に3年ほど住んでいた際、「アマゾン・レストランツ」を含め多くのフードデリバリーサービスを利用していましたので、「eコマースの王者であるアマゾン」が撤退したこと自体は驚きですが、一方で、確かに同サービスに参加しているレストランの数などは他社サービスと比べて明らかに劣っていましたので、実際の使い勝手から考えると、アマゾンの撤退も正直納得がいくところでもあります。
グラブハブの株価が急上昇!
アマゾンが撤退したことで、フードデリバリーサービスを手がけるグラブハブ(GRUB)の株価は11日の現地市場で8%を超える急騰となりました。しかし、以下のグラフにある通り、そもそも「アマゾン・レストランツ」のシェアは微々たるものでした。
オンデマンド・フードプラットフォームの市場シェア(売上高ベース)、米国2019年2月時点
現在米国のフードデリバリー市場はドアダッシュ(非上場)、グラブハブ(GRUB)、ウーバー・テクノロジーズ(UBER)が手がけるUber Eatsの三つ巴状態となっています。確かにアマゾンがこの市場を食い荒らすのではないかという懸念はなくなったものの、昨年までは頭一つ抜けていたグラブハブもシェアを落とし気味ですので、まだまだこの業界の王者はわからない状況です。現在の市場シェアは少ないものの、決済サービスを手がけるスクエア(SQ)傘下のキャビアなども、今後は市場シェアを拡大してくるかもしれません。
ただ、米調査会社Statistaのレポートによると、米国のフードデリバリー市場は2018年から2023年にかけて、平均で毎年9.5%伸びる見込みとされています。つまり、この業界は「パイを奪い合う」状況にはまだなく、どちらかというとマーケット全体が成長する中で、参加者全てが恩恵を受ける状況であるとも言えそうです。
そもそもフードデリバリーサービスとは?
ところで、日本でもUber Eatsなどがサービスを提供しているものの、正直フードデリバリーサービスは日本ではあまり普及しているサービスではなく、「まだ使ったことがない」「何が良いのかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか? 実際日本では、出前といえば蕎麦やラーメン、お寿司の出前などが想像され、それぞれのレストランがそれぞれの品をお客様に届けるという形が一般的だと思います。
こうした状況は楽天市場やアマゾン・ドット・コムなどのネット通販大手が登場する前の、通信販売の状況に似ていると思います。例えば楽天市場やアマゾンで買い物をする場合、クレジットカード番号を入力しても、悪用されることはまずなく、品物もきちんと届くという安心感があるかと思います。ただ、これがもし名前も聞いたことがないような会社のウェブサイトで、そうした会社がクレジットカード番号を要求した場合、本当に悪用されないのか、品物は本当に届くのだろうかと心配になるのではないでしょうか。
おそらく楽天市場やアマゾンなど、eコマース大手が急速に成長した背景には、「ネットで購入しても大丈夫」という安心感を提供したことが大きいのではないでしょうか。それと同じように、「今日は中華料理が食べたいな」と思った時にフードデリバリーサービスを利用すると、近所の中華料理店が複数表示されると共に、利用者のレビューなども表示され、普段使い慣れているeコマースのような安心感・使いやすさがあります。そしてその上で、「今日はここの麻婆豆腐にしよう」といった形で全てのレストランのメニューを確認した上で、好きなものを安心して注文することができます。
私も米国にいた時は昼のランチは毎回、家に帰った後の夕食も週に3~4回はグラブハブ(GRUB)のフードデリバリーサービスを使っていましたが、早く日本でも同じように普及すればいいのにと強く願っています。
また、日本でもそうですが、米国ではマクドナルド(MCD)など大手ファストフードチェーンが続々とフードデリバリーのプラットフォームを利用し始めていますので、近所の個人経営のようなレストランだけでなく、こうした大手企業のレストランも同時に比較できることも魅力の1つかもしれません。
この記事で言及した銘柄は以下のとおりです。
ティッカー | 銘柄名 | 関連するテーマ |
---|---|---|
AMZN | アマゾン・ドット・コム | eコマース、クラウド、AI |
GRUB | グラブハブ | フードデリバリー |
UBER | ウーバー・テクノロジーズ | ライドシェア、フードデリバリー、自動運転車 |
SQ | スクエア | キャッシュレス、フィンテック |
MCD | マクドナルド | ファストフード、フードデリバリー |
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(楽天証券 外国株式チーム)
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