今夜、米雇用統計発表! 売り買いの判断ポイントはここだ!
トウシル / 2021年6月4日 9時48分
今夜、米雇用統計発表! 売り買いの判断ポイントはここだ!
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは111.25円
↓下値メドは108.90円
コロナ後に期待高まる繰越需要、しかしその恩恵の配分は不均衡になる
03日(木曜)のドル/円は円安。高値110.32円、安値109.50円、1日の値幅は0.82円。
この日は109.50円からスタートして安値も109.50円。全く下がることなく、NY時間午前にほぼ1週間ぶりに110円台にのせると、110.32円まで上値を伸ばす。終値は110.31円(前日比+0.73円)。終値が110円台だったのは4月2日以来。
今夜は米国の5月雇用統計の発表があります。今回の雇用統計は特に重要です。
米国の経済再開が進むなかで、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の変更、すなわち緩和縮小は下半期の最大テーマ。そのカギを握るのが雇用市場です。FRBは「緩和縮小と雇用市場の改善はセット」だと言明しているからです。
前回の雇用統計では、予想が大きく外れました。今回はNFP(非農業部門雇用者数)の事前予想が、下は31万人から上は100万人までと大きく分かれています。それだけサプライズの確率も高いことになります。マクロトレーダーは今夜に控えてリスクを減らし、それが昨日のドル/円の買い戻しの一因にもつながっています。
なお、5月雇用統計の詳しい解説については「今月の米雇用統計、良くても悪くても相場大荒れ間違いなし!?市場予想は、どうして当たらないのか?」をぜひご覧ください。
今夜の雇用統計でNFPが予想に届かなければ、2カ月連続の弱い数字ということになります。米景気回復にクエスチョンマークがつくわけで、マーケットの不安は高まります。パウエルFRB議長にとっては、緩和縮小の議論開始を延期する言い訳ができることになります。
逆にNFPが予想を超える強さとなって、さらに先月分と今月分の平均値が、第2四半期の月平均100万人を想定できる数字まで回復するならば、景気回復のトレンドはしっかりしていると、マーケットは安心する。その意味でも、先月分の修正データが重要になってきます。
先月の雇用者の増加数が低迷したのは、需要がなかったからではなく、労働者の供給不足が原因だという見方が増えています。たとえ今回のNFPが弱くても、それは労働者の供給不足だとマーケットは納得して反応が薄いかもしれません。反対にNFPがある程度強ければ、労働者不足の向かい風のなかで健闘していると高評価になる可能性もある。解釈が異なれば、ドルの方向も違うので注意が必要です。
主要指標 終値
今日の一言
仕事のストレスを減らすには、休暇より仕事の量を減らすほうがずっと効果的である。休暇はせいぜい1週間程度だが、仕事を減らすのは1年365日有効である。
All Night Long
民間版雇用統計であるADP雇用データが昨日発表されましたが、結果は97.8万人で予想(65.0万人)大きく上回る強さ。一方、前週分の新規失業保険申請は38.5万件(予想39.0万件)、失業保険継続受給者数 377.1万人(予想 361.5万人)でミックス。非製造業ISMは64.0(前回63.0)でこちらは強い。
雇用市場の動向はFRB(米連邦準備制度理事会)でも見方が分かれていて、ダラス連銀は、5月の雇用者数は「前回と同じような残念な結果となる可能性が高い」と悲観的。一方、アトランタ連銀は「月100万人近いペースで雇用が増加することもありえる」と強気。セントルイス連銀総裁も「雇用統計は見かけより強い可能性がある」として、弱気になりすぎることに警戒しています。
米国の労働市場は、全失業者に占める一時レイオフ(失業)の割合が高いのが特徴で、一時レイオフ労働者の再就職率は、他の失業者の2倍以上になります。そのため100万人以上の労働者が、極めて短期間のうちに復帰する現象が起きる可能性があります。もちろん、その逆もあるわけです。
コロナによる学校閉鎖も失業率に影響を与えています。教職員など直接関係のある人だけではありません。10歳かそれ以下の子供を持つ働き手の労働力参加率が、昨年低下したまま現在も低迷しているのです。特に10歳以上の子供を持つ人との差が目立っています。
しかし、今後、学校での対面授業が増えるにつれて、家で子供の面倒を見ている人たちが再び労働市場に参加できる機会が増えると考えられます。試算によると、学校が完全に再開された場合、子供を持つ労働者約100万人が労働力として復帰できる可能性があります。
今日の注目通貨:ドル/円
6月の予想レンジ ↑111.29円 ↓107.54円
6月のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は109.41円。109.41円より上ならばドル買い優勢、109.41円より下ならばドル売り優勢。
114.55円 : 2018年 高値
112.40円 : 2019年 高値(19年04月24日)
112.22円 : 2020年 高値(20年02月20日)
112.00円 : 第4レジスタンス(HBO)
111.29円 : 第3レジスタンス
110.97円 : 2021年 高値
110.57円 : 第2レジスタンス
110.35円 : 第1レジスタンス
109.41円 : ピボット
108.48円 : 第1サポート
108.25円 : 第2サポート
107.77円 : 2021年 61.8%
107.54円 : 第3サポート
107.32円 : 2017年 安値
106.82円 : 第4サポート(LBO)
106.78円 : 2021年 平均値
105.79円 : 2021年 38.2%
104.61円 : 2018年 安値
104.01円 : 2019年 安値
(荒地 潤)
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