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「リターン」は高いのに儲からない?投資信託「年率」の落とし穴

トウシル / 2021年8月28日 8時0分

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「リターン」は高いのに儲からない?投資信託「年率」の落とし穴

投資信託のリターン、本当の意味は?

 投資信託の実力を測る指標の中で、最もシンプルでかつ分かりやすいのが、損益を表す「リターン」です。

 投資信託評価の世界では、単純なリターンだけでなく、そのファンドが負うリスクの大小を考慮に入れた、「シャープレシオ」をより重視しますが、今回はあえてリターンに焦点を当てることにします。

 というのも、この「リターン」を正しく理解できていないと、優良な投資信託の判断ができないからです。

 では早速ですが、リターンにまつわる理解度チェックのクイズを出題します。

問題次の二つの投資信託のうち、5年後に獲得できるリターンが高いのは、次のどちらですか?

1:5年間にわたり、毎年5%ずつリターンを獲得できるファンド
2:5年ごとに、25%ずつリターンを獲得できるファンド
※計算は複利とし、税金は考慮しない

5年後に獲得できるリターンが高いのはどっち?

答え

1:5年間にわたり、毎年5%ずつリターンを獲得できるファンド

「5年にわたり毎年5%ずつ」と「5年ごとに25%」というのは、一見するとリターンに差がないように思えます。

 この問題を解くヒントは、「年率リターン」と「複利効果」に隠されています。

 年率リターンとは、期間リターンを「1年あたり」に換算したもので、「1年あたりリターン」とも言います。年率リターンを使うと、この問題の例のような、異なる計算期間の商品を比較しやすくなります。

 Aの年率リターンは、問題の通り「毎年5%」なので「5%」です。

 一方、Bの年率リターンは、以下の式で求められ、「4.6%」となります。

「25÷5=5」とならないのは、複利効果(得られた利益を元本に毎年積み上げ、継続的に運用することで、元本がふくらんでいく効果)があるためです。

 ちなみに、上記の計算を表計算ソフト上で行う場合は、セルに下記の数式を入力してください。

=(0.25+1)^(1/5)-1

 では、AとBそれぞれの5年間の期間リターンは何%でしょうか。

 Bの期間リターンは、やはり問題文の通り、「5年ごとに25%」なので、「25%」です。

 一方、Aの期間リターンは、複利効果を考慮に入れた以下の式で求められます。

 こちらも、表計算ソフト上で計算を行う場合は、セルに下記の数式を入力してください。

=(0.05+1)^5-1

 以上をまとめると、Aの「5年間にわたり、毎年5%ずつリターンを獲得できるファンド」の方が、5年後に獲得できるリターンが高いことが分かります。

  年率 期間リターン
5年間にわたり毎年5%ずつ
リターンを獲得できるファンド
5.0% 27.6%
5年間ごとに25%ずつ
リターンを獲得できるファンド
4.6% 25.0%

 では、年率リターンについて理解が深まったところで、もう1問クイズをお出ししましょう。

問題以下の三つの投資信託の年率リターンは何%でしょうか。
  1. 3年の期間リターンが14.5%のファンド
  2. 8年の期間リターンが43.5%のファンド
  3. 20年の期間リターンが144.5%のファンド

投資信託の年率リターンは何%?

答え

すべて4.6%(小数点第2位以下四捨五入)

 ここでは細かい計算は割愛しますが、上記の三つの投資信託の年率リターンは、1問目の「5年ごとに25%ずつリターンを獲得できるファンド」と同じ4.6%です。

 このクイズからも分かるように、期間リターンは、個々の投資信託のリターンを把握する上では使いやすい半面、異なる計算期間の投資信託を比較するのには向いていません。

 投資信託の世界で年率リターンが多く使われるのは、こうした異なる計算期間の商品を比較しやすくするためです。

 なお、年率リターンは、投信スーパーサーチのほか、それぞれの銘柄の詳細画面でも確認できます。

 類似商品との比較をする際などは、期間リターンだけでなく、年率リターンもあわせて活用してみてください。

投信スーパーサーチ

出所:楽天証券

銘柄詳細ページ

出所:楽天証券
注:「投信スーパーサーチ」で銘柄を選択≫銘柄ページの一番下に表示されています

(篠田 尚子)

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