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総裁選は誰が制す?日本の課題と株価、為替は?詳しくわかる総裁選(2)

トウシル / 2021年9月21日 12時37分

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総裁選は誰が制す?日本の課題と株価、為替は?詳しくわかる総裁選(2)

4候補の舌戦で過熱する総裁選!

 日本の次の首相を事実上決める自民党総裁選挙(9月29日投開票)が過熱してきました。岸田文雄・前政調会長、河野太郎・行政改革担当相、高市早苗・前総務相、野田聖子・幹事長代行の4候補者はネットやテレビで連日の舌戦を展開。

 一方、国会議員による決選投票をにらんだ多数派工作も繰り広げられています。同じ政党の有力議員でありながら各候補者の政策には大きな違いがあり、誰が総裁選を制するかで、株価や為替だけでなく、今後の日本の姿も大きく変わっていきそうです。

 今回は岸田、河野、高市の3氏に加え、公示直前に野田氏が立候補を表明。去就が注目された石破茂・元幹事長は出馬を見送り、河野氏支援に回りました。4人で争う今回の総裁選は、安倍晋三前首相が後の政権奪回につなげた2012年9月選挙の5候補乱立以来の混戦模様です。

 4人の候補者は経済政策やエネルギー、安全保障など各分野に一家言あります。強引に分類すると、河野氏が改革に賭ける意気込みを強調する一方、保守を前面に押し出す高市氏ら3人は独自色を出しながらも利害調整を進めながら合意形成を図っていく伝統的な自民党スタイルです。

中間層の底上げを重視する岸田文雄氏

 岸田氏は昨年9月の総裁選で菅義偉首相に敗れた直後から、「次」を目指してきました。今回は満を持しての出馬です。記者会見などで本人が「聞く力」の大切さを説くように、調整力が持ち味です。

 今回の総裁選では、これまでの弱肉強食型から中間層の底上げを重視する「新しい日本型資本主義」への転換を唱えています。岸田氏は公示前日の9月16日、経団連の十倉雅和会長と会談し、十倉氏から「経団連と軌を一にするもので、全面的に賛同する」との発言を得ています。

 岸田氏の政策は、経団連が昨年11月17日に発表した「新成長戦略」と多くの部分が重なります。新成長戦略は「サステイナブルな資本主義」を目標に、株主至上主義への反省にまで踏み込んだものです。

 十倉・経団連会長が岸田氏の政策を聞いて「賛同」したのではなく、岸田氏が財界の要望をくんで温めてきたのが「新しい日本型資本主義」のようです。財政再建論者と目されますが、10年程度は消費税率を引き上げない意向を表明しており、この点は消費税率アップを提言してきた経団連とずれがあります。

 そんな岸田氏の弱点は河野氏と比べて世論調査の支持率で遅れを取っていることです。毎日新聞と社会調査研究センターが18日実施した全国調査では、誰に総裁になってほしいかとの設問に対し、回答の多い順に河野氏43%、高市氏15%、岸田氏13%、野田氏6%でした。党員・党友だけを対象とした調査も似たような傾向を示し、河野氏が大幅にリードしています。

安全保障が得意分野の高市早苗氏

 高市氏は安全保障が得意分野。中国への抑止力として日米によるミサイル配備の合意が必要だとしています。中国との関係について「米中を対立させるのではなく賢い交渉役として収めていく」と融和的なスタンスの野田氏とは対照的です。

 高市氏は経済政策として、アベノミクスを継承した「サナエノミクス(日本経済強靭化計画)」を提唱。財政再建を棚上げして「戦略的な財政出動を優先する」景気重視の路線を鮮明にしています。

 高市氏には安倍晋三・元首相がいち早く支持を表明。自民党内の保守層を中心に高い支持を得ています。候補者討論会でも、自らの言葉で政策を訴える姿が好評でした。

 ただ、国会議員だけの決選投票にもつれ込んだ場合には、高市陣営の票が岸田氏に回る「2位・3位連合」を予想する記事が各所で掲載されています。

 こうした観測記事の背景には、今年5月26日発売の月刊誌「Hanada」でのインタビューがあります。安倍氏は菅首相の後継候補として、茂木敏充外相、加藤勝信官房長官、下村博文政調会長と岸田氏を挙げています。高市氏の名前はありません。

 このため、決選投票で岸田氏が勝つように、安倍元首相が高市票を岸田陣営へ誘導するというのです。2012年総裁選では、第1回投票での石破氏199票、安倍氏141票というピンチを決選投票で逆転した安倍氏だけに、こうした作戦立案はお手のものかもしれません。

年金問題は「爆弾」

 9月18日の候補者討論会で議論が最も盛り上がったのは年金でしょう。年金問題は政界で「爆弾」と呼ばれます。扱いを誤ると、敵を攻撃するどころか自分まで吹き飛ばされてしまう破壊力があるためです。

 2009年8月の衆院選では、2007年7月の参院選に続いて民主党(当時)が大勝し、政権を奪取しました。当時を知る政界関係者によると、民主党は広告代理店や選挙コンサルタントも利用して国民の不満を詳細に分析。社会保険庁(2009年末廃止、日本年金機構に業務移管)によるずさんな事務管理が発覚した「消えた年金問題」もあり、年金改革を掲げて有権者の不満や不安を吸い上げ、選挙は歴史的な圧勝に終わりました。

 しかし、民主党政権は将来の年金財政に対する国民の不安を解消できず、野党に回った自民党から攻撃される立場のまま消滅していきました。年金問題の根底には、現役世代と高齢世代の人口差があり、負担を増やさず給付を維持するのは不可能です。このため、年金問題を材料に攻めているうちは圧倒的に有利ですが、解決策を実行する側に立った瞬間、圧倒的に不利になるのです。

公的年金は税金で支える構想の河野太郎氏

 そこに切り込んだのが河野氏です。河野氏は「税金で支える公的年金」が持論です。「3階建ての1階部分」と呼ばれる基礎年金(国民年金)を保険料ではなく消費税でまかなう案です。買い物のたびに支払う消費税なら未納も免除もないため財源が安定し、年金保険料徴収事務も不要になる利点があります。

 ただ、9月18日の候補者討論会では、厳しい批判を浴びました。高市氏は現在の基礎年金を税金と保険料でまかなっている点を踏まえ、河野プランでは財源不足に陥ると指摘。岸田氏は旧民主党が掲げた「月7万円の最低保障年金」案を自民党が「実現不可能だ」と批判してきたことを取り上げ、大幅増税につながる可能性を示しました。

 エネルギー問題についても、河野氏と他の3候補の違いが際立ちました。これまで脱原発を主張してきましたが、総裁選スタートと前後して再稼働容認を表明。ただ、使用済み燃料を処理する核燃料サイクルは「なるべく早く止めるべきだ」とし、原発推進で一貫してきた自民党方針と一線を画しています。

 こうした姿勢が災いしてか、河野氏の弱点は国会議員票です。河野氏が属する麻生派はトップの麻生太郎副総理兼財務相が早々と自主投票を決めました。ちなみに政界のキーマンとされる二階俊博幹事長は河野氏と野田氏を支援しているとみられますが、二階派は自主投票です。

 3連休に入った9月18日、自民党議員や秘書は軒並み深夜まで情報収集に追われました。誰につくかで政治家としての運命が変わるからです。「負けたら冷や飯を食う。覚悟を決めた上でやってもらうことを期待する」。麻生氏が派閥の会合で述べた言葉に政治の世界の苛烈な戦いが垣間見えます。

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(トウシル編集チーム)

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