中国電力セクター
トウシル / 2022年9月22日 4時0分
中国電力セクター
電力の安定供給戦略で火力が再び焦点に、原発建設認可も加速か
今夏の記録的猛暑と渇水を受けた四川省と重慶市の電力不足は生産活動や市民生活に深刻な影響を及ぼし、水力発電が他の再生可能エネルギーと同様、気象・気候に依存していることを改めて認識させた。中国政府は2021年末の段階でエネルギー戦略を調整。ベースロード電源(低価格の安定的な電力源)の重要性に焦点を当て、石炭火力発電と原子力発電の認可を加速させている。BOCIは将来的な電力の安定供給に向け、こうしたステップは不可欠との認識であり、関連規定の枠組みの見直しがベースロード電源を手掛ける発電事業者に有利となる可能性を指摘。火力発電セクターに対して4月当時より楽観的な見方に転じた。セクター全体の先行きに対し、強気見通しを継続している。
記録的猛暑と降雨不足に見舞われた四川省では8月に、水力発電の発電量が大きく減少。東北地方が風速の不足や石炭在庫の減少により、電力不足に直面した2021年秋の出来事を思い起こさせた。電源全体に占めるベースロードの比重の縮小が、気候の変動に対する中国の電力供給の脆弱(ぜいじゃく)性につながった。
中国政府は2021年の電力不足を受け、エネルギー戦略を転換。「先に新設備を建設してから、後に旧設備を廃棄する」との新たなスローガンの下、当局は同年10-12月以降、少なくとも設備容量45GWの火力発電所(うち99%が石炭火力とガス火力)の建設を認可した。BOCIの調べによれば、この数は2021年1-9月の約10倍に上るという。BOCIはベースロード重視戦略の下、中国がさらに石炭火力発電を拡充させる可能性に触れ、2023-2025年の火力発電能力の正味増設量に関する予想を、年間48-63GWに上方修正した。また、新規の石炭火力発電所については、火力発電、再エネ発電の開発促進を目的に、政府が新たな料金体系を採用する可能性にも言及している。
一方、中国当局は4月に原子炉6基の建設を認可したが、ブルームバーグの報道によれば、さらに4基を認可する可能性があるという。BOCIはエネルギー危機の下、火力発電よりクリーンな原発への支持が、世界的に高まるとの見方。ベースロード電源と予備電源を備えた電力供給網の構築が、再エネ開発の基盤にもなると指摘している。
短期的に火力発電銘柄の収益を左右するのは5月施行の石炭価格政策。BOCIは石炭生産者による取引契約の履行率が7月以降改善したと報告し、7-9月期以降は石炭調達方法や運営効率次第で、電力会社が赤字削減や黒字転換の可能性があるとしている。
個別では華電集団傘下の華電国際電力(01071)の株価の先行きに対し、従来の中立見通しを強気に修正。さらにクリーンなベースロード電源を目指す中国や世界のすう勢が追い風になるとみて、中国広核電集団傘下のウラン商社、中廣核礦業(01164)に強気見通しを継続した。この2社に中国広核電力(01816)、中国電力国際発展(02380)、華能国際電力(00902)を加えたカバー5銘柄の株価の先行きに強気見通しを付与している。
(Bank of China int.)
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