円安止まらず1ドル148円台。コアインフレ・ショックでナスダック安値
トウシル / 2022年10月17日 7時42分
円安止まらず1ドル148円台。コアインフレ・ショックでナスダック安値
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「コアインフレ・ショックでナスダック安値どうなる日経平均?」
ナスダックが安値更新
先週の日経平均株価は1週間で25円下落して2万7,090円となりました。ほぼ横ばいでした。ただし、米ナスダック総合指数(ナスダック)が、FRB(米連邦準備制度理事会)による大幅利上げが11~12月も続く懸念で週末にかけて売り込まれて年初来安値を更新しているので、今週の日経平均は大きく下落してのスタートとなりそうです。
先週13日に発表された米インフレ率が予想以上に高かったことから、FRBによる大幅利上げが11~12月も続く懸念が広がりました。「インフレ抑制のためには家計や企業に痛みを与えても金融引き締めをやり続けないとならない」と発言している、ジェローム・パウエルFRB議長の姿勢に変化が生じることはないと見られています。
ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年10月14日
コアインフレ・ショック
9月の米インフレ率が、ナスダック一段安につながりました。エネルギー価格がピークアウトしていることから、インフレ沈静化の期待が広がっていましたが、サービス価格の上昇が想定以上で、インフレが簡単に収束しないことが嫌気されました。
10月13日に発表された9月の米インフレ率(CPI[消費者物価指数]前年比上昇率)は8.2%と、市場予想以上の高水準でした。6月のピーク(9.1%)から低下してきているものの、低下幅が予想以上に遅いことが、ネガティブ・サプライズとなっています。
米インフレ率(CPI総合指数・コア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2022年9月
ネガティブ・サプライズだったのは、エネルギー・食品価格上昇の影響を除いたコア・インフレ率(CPIコア指数前年比上昇率)が、9月は6.6%と一段と上昇したことです。米景気がいまだに堅調であること、労働市場ひっ迫が続いていることを受けて、家賃や航空運賃などサービス価格の上昇が続いていることが影響しました。
以下の通り、米雇用、ISM景況指数も堅調であることが、さらにインフレに対する不安を強める要因となっています。
完全失業率:2014年1月~2022年9月
ISM景況指数の推移:2018年1月~2022年9月
米景気が好調であることは、本来株式市場にとってプラス材料になるはずです。ところが、FRBがインフレ抑制のために急ピッチの金融引き締めを続ける方針を示している中では、株式市場にとって米景気がしぶとく好調であることも、悪材料とみなされる状況が続いています。
日本株が堅調な三つの理由
3月以降、米国株が弱い中で日本株は相対的に堅調です。日本株堅調な理由は、以下三つです。短期的には、米国株の下落につれて、日経平均も下げが続く可能性がありますが、以下の理由により、日経平均はナスダックよりも相対的に下落率が低い状況が続くと予想しています。
【1】円安
1ドル=148円台に乗せる円安(ドル高)が進みました。円安は日本の企業業績には大きなプラス要因です。円安による輸入物価の上昇が国民生活にマイナスなので「悪い円安」とメディアで盛んに言いたてていますが、企業業績にはプラスです。
日本株の動きを支配している外国人投資家から見ると、円安は、「日本の金融資産や不動産をドルで安く買う機会」と映る面もあります。以下の通り、ドル建て日経平均は大きく下落しています。
ナスダック・日経平均・ドル建て日経平均の動き比較:2019年末~2022年10月14日
【2】リオープン(経済再開)への期待
日本は、リオープン(経済再開)で、コロナで抑え込まれていた消費が一時的に大きく伸びる可能性があります。全国旅行支援が始まってから初めての土日となった10月15~16日はさっそく旅行客で人気スポットがにぎわっていました。外国人旅行者の受け入れを増やす方向にあることにも、期待があります。
【3】日本の企業業績が良好
好調だった2022年3月期に続き、今年度(2023年3月期)も小幅ながら増益が見込める可能性があります。以下が、東証上場主要841社の業績推移です。今期、楽天証券では、連結純利益が4.2%の増益になると予想しています。
東京証券取引所上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)
日本株への投資方針は、毎週述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。ただし、短期的なショック安は終わっていないのでリスク管理が大切です。時間分散しながら少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
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2022年9月21日:リーマンショック前夜?二つの共通点と三つの相違点
2022年9月8日:積立投資が資産形成の王道。つみたてNISA、iDeCoなら節税効果も
(窪田 真之)
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