日経平均株価が好調の中、日本株を「持たざるリスク」をどう考えればいい?
トウシル / 2024年4月1日 7時30分
日経平均株価が好調の中、日本株を「持たざるリスク」をどう考えればいい?
2024年2月22日に日経平均株価が34年2カ月ぶりに史上最高値を更新、その後3月に入ってからもさらに更新しています。また、金(ゴールド)やビットコインといった資産も、今年に入り史上最高値を更新しています。
資産形成が目的なら世界株式インデックスファンド1本で十分だと筆者は考えていますが、史上最高値を更新している日本株、金、ビットコインなどに積極的に投資しておく必要はないのでしょうか。
今回は、こういった資産の「持たざるリスク」について説明します。
持たざるリスクとは?
持たざるリスクについて厳密な定義があるわけではないと思いますが一般的には、
「特定の資産を保有していないことによって、収益機会を逃してしまうリスク(可能性)」
といった意味で使われている言葉です。
例えば、日経平均株価が高値を更新している場合、日経平均株価に連動するインデックスファンドを保有していないことで、自分の金融資産が生み出すリターンが他の人のリターンよりも劣ってしまうのではないか、といったイメージです。
世界株式における日本株式の割合は1割もない
資産形成では、日本人だからといって日本企業へのみ投資するのではなく、世界全体に幅広く分散して投資しておくことが大切だと考えています。ここで世界における日本株式の位置づけを確認してみましょう。
次の図は、米国MSCI社が算出している世界株式を対象としたインデックスであるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスにおける国・地域別の構成割合を示しています。
世界株式の国・地域別時価総額割合
日本株式は世界全体の5.4%程度となっており、世界全体の20分の1程度です。つまり、世界の中で1割にも満たない日本市場の中で、日本経済新聞社が選んだ225社の平均株価が最高値を更新しているとして報道されていることになります。
さらに深掘りしていくと、日経平均株価の対象となっている225社の中でも上昇率の高い銘柄もあれば、低い銘柄もあるでしょう。であるならば、結果論にはなりますが、225社全体を保有するよりも、より上昇率が高い銘柄のみに絞って保有しておいた方が高いリターンが得られていたことになります。
このように、もっと、さらにもっと、と少しでも高いリターンを求めていくと、
「世界全体に分散して投資するよりも特定の国に投資しよう」
「その国の中でも成長しそうな企業に投資しよう」
とよりもうかりそうな銘柄探しを始めてしまうことになるでしょう。
日経平均株価について連日報道されていると自然に注目してしまいがちですが、日本以外の国、そして世界の株式市場を見渡せば、株価上昇率の高い銘柄はいくらでもあることでしょう。
そのように、より高いリターンが期待できる銘柄を事前に探し当て、投資していくことは、いわゆるアクティブ運用といわれるものであり、プロのファンドマネージャであっても、インデックスを大幅に上回る実績を出すのは難しいといわれています。
ましてや、投資を本業としていない一般の個人の方が行うのは非常に難しいものといえるでしょう。
資産形成は他人と比べるのではなく、あくまで自分のライフプランを考えて
みなさんが投資をされているのは何のためでしょうか?とにかくたくさんの利益を上げたい、ギャンブル的にワクワク・ドキドキを楽しみたい、という方もいるかと思います。
しかし、一般的に人生で必要な投資は、将来のライフプランを実現していくために、お金について困らないよう、預貯金などより有利に資産をつくっていくためではないでしょうか。
そのためには「他人よりも資産を増やせるか」ということではなく、ご自身のライフプランを考えて、そのライフプラン実現に向けて十分なお金が準備できるかどうか、という視点が大切だと考えています。
投資対象は視野を広げるときりがない
筆者は資産形成で必要な投資対象(アセットクラス)は、世界株式だけで十分だと考えています。資本主義という仕組みが変更されない限り、今後も世界のさまざまな株式会社は世の中に商品やサービスを提供することで利益を生み続けていくでしょう。
もちろん株式以外にも、付加価値を生み出す資産としては不動産や債券もあります。また、付加価値を生み出すわけではありませんが、価格が変動し、タイミングを当てることができれば、金(ゴールド)や暗号資産などで利益を得ることも可能でしょう。
しかし、あれももうかりそう、これももうかりそうと言っていてはきりがなくなります。楽しむためにいろいろ投資してみたいということであれば否定はしませんが、その結果、右往左往して、精神的な負担となってしまっては本末転倒です。お金に振り回されず、心穏やかな人生を送るという視点が大切ではないでしょうか。
資産形成における投資の位置づけ、投資との付き合い方について、ご自身のスタンスを改めて整理してみていただければと思います。
(横田 健一)
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