松浦弥太郎がエッセイで書かないと決めている事 どのように書くとエッセイはおもしろくなるのか
東洋経済オンライン / 2023年11月15日 20時30分
厳しい競争社会で誰もが勝者になれるわけでもない時代をどう生きればいいのか――。松浦弥太郎さんが提案するのが「エッセイストという生き方」です。エッセイを通して日々の暮らしや自分自身との向き合い方を考える書籍『エッセイストのように生きる』より、一部抜粋・再構成してお届けします。
言いたいことは「ひとつ」だけ
「伝えたいことを、ひとつだけ」。これは『暮しの手帖』時代から、編集部員やライターの人にことごとく言いつづけてきたことです。
人は、いろいろな情報を知ったり、見たり、聞いたり、感動したりすると、なるべくその多くを書きたくなるものです。あれもこれもと伝えたくなるし、伝えなくてはと使命感を持ってしまうところもあります。
しかし、そういう文章は「説明文」や「情報のパッケージ」になってしまいがち。いちばん伝えたいメッセージが伝わらないものになってしまいます。読み手にとっても、役には立つけれどおもしろくないエッセイになってしまうでしょう。
ですので、いちばん伝えたいことを、ひとつだけ。手の中にたくさんのすてきな情報を持っていても、その中のどれかひとつだけを選び取って書くのです。ほかの要素は思い切って捨ててしまう。
そしてその「ひとつ」について、深く深く書いていきます。
同じ文章にいろいろな要素が詰め込まれていると、すべてが同じ強さ、同じ大切さで並んでいるように見えてしまいます。
ケーキについてエッセイを書くとして、「これはおいしかった、あれもおいしかった、それもおいしかった」と書けば、「全部同じくらいおいしかったんだな」というふうに伝わってしまうでしょう。すると読み手は、「おいしいケーキの情報をたくさん得られた」という淡々とした読後感を持ってしまいます。
そうではなく、ひとつの「とびきりおいしいケーキ」について自分が抱いている愛情や、おいしさについて徹底的に書く。そのケーキが持っている「秘密」を見つけて書く。すると読み手もその熱量に動かされ、もっと没入できるのです。
「詰め込みすぎ」が多い傾向
時おり一般の方のエッセイを読んでみると、傾向としては、「詰め込みすぎ」が多いように思います。文章についてアドバイスを求められるときも、「いろいろあれこれと書きすぎているので、どれかひとつに絞りましょう」と言うことは多いです。読み手はあなたがいちばん伝えたい「ひとつ」についてもっと知りたいんですよ、と。
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