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楽天証券への「みずほ追加出資」は逆張り買いか 手数料無料化で楽天証券の事業計画は視界不良

東洋経済オンライン / 2023年11月16日 7時40分

モバイル事業に多額の資金を投じてきた三木谷浩史会長兼社長率いる楽天グループ(撮影:風間仁一郎)

「追加出資はナンピン」。みずほ証券による楽天証券への追加出資をそう評したのは、SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長だ。

【写真】みずほの競合、三井住友は個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」でSBIと提携する

手持ちの株が値下がりしたとき、その銘柄を買い増して買い値の平均を下げるのがナンピン買い。だが逆張りには、リスクも伴う。

楽天グループは11月9日、楽天証券HDが保有する楽天証券株式の29・01%をみずほ証券に売却すると発表した。みずほ証券は2022年10月に楽天証券株19・99%を取得済み。計49%を出資することになる。これにより、楽天は年内を予定していた楽天証券HDの東証への新規株式公開(IPO)を取りやめる。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、この日の決算説明会で「リアルに強いみずほと強いパートナーシップを作る」と説明した。楽天証券HDの上場方針は撤回せず、2024年以降に再び上場申請を行う予定だ。

SBIに追随して手数料を無料化

楽天証券の9月までの業績は好調だった。2023年1~9月期の純営業収益は前年同期比20%増の805億円。取引関係費の増加抑制などが効き、営業利益は同95%増の240億円に達した。

好調な業績に加えて、新NISA(少額投資非課税制度)や「資産運用立国」といった国の政策を背景に業容を拡大させれば、市場で高い評価を得られ、多額の資金を手にできたはずだ。

それが土壇場になって上場延期に追い込まれたのは、10月から始まった国内株取引の手数料無料化で事業計画が狂ったからだ、との見方が強い。なお楽天証券HDは、「無料化前の8月に公表した中長期目標にて織り込み済みのイベントであり、とくにサプライズではない」と、コメントする。
【11月17日12時50分注記】上記の会社側コメントを追記します

無料化を仕掛けたのは、ネット証券最大手のSBI証券。その動きに楽天証券が追随した。信用取引や外国株取引の拡大で減収分を補う予定だが、収益の2割近くを占める手数料を得られなくなったことの痛手は大きかった。

手数料なしでサービスを提供し続ける反面、システム維持コストなどは従前と変わらず必要だ。減収分が、そのまま利益の引き下げ要因になってしまう。楽天証券は2023年に入ってから、同じグループである楽天カードに支払う手数料を見直すなどしてコスト削減に取り組んできた。

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