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ごみ収集車から流れる「音楽」の知られざるひみつ かつて「放送中止騒動」も、「赤とんぼ」が多い理由

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 7時20分

清掃車から流れるメロディのひみつに迫ります(写真:years/PIXTA)

皆さんの住む地域では清掃車から音楽は流れてくるだろうか? 筆者が幼少期から住んでいた兵庫県尼崎市では、清掃車が来る時には「赤とんぼ」のメロディが流れていたので、ごみ収集はメロディを鳴らしながら作業すると思いこんでいた。

その後移り住んだ京都市では清掃車からメロディは流れておらず、また、東京に出てきて住んだ練馬区と板橋区でも清掃車からのメロディは流れていなかった。ごみ収集の調査で入った神奈川県座間市では収集時に「乙女の祈り」を流しており、清掃車に「赤とんぼ」とは違うメロディがあるのを知った。

本稿では清掃車のメロディにスポットを当ててみたい。今では考えられない理由での放送中止騒動もあった。

清掃車のメロディの提供元のひとつは「ノボル電機」

清掃車から流れるメロディは業務用拡声音響装置から流れている。この装置を製造する会社のひとつ「ノボル電機」を取材した。同社は1945年に大阪市東成区で創業し、ホーン型スピーカーの設計や製造を手掛け、2018年に大阪府枚方市に本社工場を移転している。

【写真で見る】ごみ収集車から流れる音楽、どんな機械を使っている?

2018年に社長に就任した猪奥元基氏は、「これまで蓄積してきた技術を多くの人々に身近に感じてほしい」との思いから、一般消費者向け新ブランドの「ノボル電機製作所」を立ち上げ、スマートフォン用の無電源のスピーカーやホームオーディオなどにも参入している。

創業当時、ノボル電機では拡声器の製造を行っていたが、アンプとセットで買ってもらわないと自社ブランドの育成やシェアを伸ばすことができないと判断し、1950年頃からはアンプの製造を始めた。

同時期に自治体より、「拡声装置を利用してごみ収集が終わったことを住民に簡単にお知らせする方法がないか」という相談を受けた。

同社は、「何かメロディを流せばいいのではないか」と考えオルゴールを利用することを決め、機械式のオルゴールを拡声するトランジスタアンプ(オルゴールアンプ)を開発。ぜんまい式のオルゴールユニットをメーカーから購入し、それをアンプの中にそのまま設置してモーターでオルゴールを回すようにし、そこから出る音を増幅して拡声させる仕組みにした。

このようにして開発されたオルゴールアンプにより、清掃車がメロディを鳴らしながら家庭ごみを収集するようになっていった。

当時はポリバケツを利用したごみ排出が始まった頃であったため、メロディが流れてくると住民はごみが収集されたと認識し、バケツを自宅に引き上げていった。

清掃差別がもたらしたオルゴールアンプの進化

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