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新型EV「コナ」投入、韓国ヒョンデの日本での勝算 価格と性能のバランスに自信示すも厳しい現実

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 7時40分

そのBYDが日本へ参入したのも昨年のこと。本国ではEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を展開しているが、日本ではEVに絞っている。ヒョンデと同様、日本勢が魅力的なEVを出せないでいる好機に日本で地歩を固めようとしている

一方、ヒョンデとBYDは対照的なチャネル戦略を取っている。

ヒョンデは日本再参入に当たってディーラーを介さないオンライン販売に挑戦している。オンライン販売はテスラも行っているが、日本で定着しているとは言いがたい。それでも趙CEOは、「若い世代はディーラーとの交渉は楽しくない。オンラインでの販売でのハードルをなくしていく」と意欲を示す。

実車を見たり試乗したりできるように全国6カ所のショールームを運営するほか、45カ所の整備拠点や3年間の車検と部品交換を無償とする「アシュアランスプログラム」を整えるなど、消費者の不安払拭にも余念がない。

対して、BYDはディーラーを通じた対面での販売を選択。全国各地で地元の自動車販売会社などと契約を進めており、足元で店舗数(開業準備室含む)は49店舗まで拡大した。さらに2025年度末までに100店舗とする方針を示している。

これまでのところ両者とも苦戦している。今年1月から10月末までのヒョンデの販売台数はアイオニック 5とネッソの2車種を合計しても383台、同じ期間のBYDはドルフィンを含む1020台。BYDが2倍以上売れているのはディーラー店舗による効果かもしれないが、ともに絶対水準は低い。

もともと日本は海外の自動車メーカーにとってとりわけ厳しい市場だ。年間の新車販売に占める輸入車の比率は6%弱(2022年)。この比率は長年大きく変わっていない。しかも、そのうち3分の2以上はドイツ車が占める。ブランドが浸透していないアジアメーカー、しかも参入したばかりの両者の台数が苦戦するのは当たり前だ。

加えて、EV自体が日本市場でまだ受け入れられていない。昨年度の日本の新車販売におけるEVの比率は1.9%。もっとも売れたのは日産の軽EV「SAKURA(サクラ)」で3.3万台、2位の日産「リーフ」が1.2万台。トヨタ自動車の「bZ4X」は926台だった。

十分に健闘している?

日本での販売チャネルも、ブランド力も段違いの日本勢のEVがこの程度しか売れていない現実を考えると、ヒョンデも、BYDも、十分に健闘していると言えるのかもしれない。

一度撤退した日本市場。EVのみ、オンライン販売のみで攻略する難しさをヒョンデは当然承知している。それでも「日本で培ったノウハウは資産となる」(趙CEO)と挑戦する姿勢は崩さない。

自信作のコナは起爆剤となるか。

井上 沙耶:東洋経済 記者

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