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中国の非鉄金属大手「アフリカの銅山」買収の思惑 五鉱資源、銅の世界需要の長期的拡大に自信

東洋経済オンライン / 2023年12月7日 18時0分

ボツワナのコエマカウ銅山は2021年から商用採掘を開始している。写真は同銅山の全景(鉱山運営会社のウェブサイトより)

中国の国有非鉄金属大手の五鉱資源は11月21日、アフリカ・ボツワナのコエマカウ銅山を買収すると発表した。同銅山の採掘権を間接的に保有するカナダの投資会社、キュープロス・キャピタルの全株式を総額18億7500万ドル(約2787億円)で取得する予定で、2024年前半の取引完了を見込んでいる。

【写真】五鉱資源は海外鉱山の買収を通じて、銅関連事業の比重を高めた。写真は同社が採掘権を保有するペルーのラスバンバス銅山

ボツワナ北西部に位置するコエマカウ銅山はアフリカ10大銅山の1つに数えられる大型鉱山であり、銅と同時に銀も産出する。すでに2021年から商用採掘が始まっており、長期にわたってキャッシュを生み出す可能性が高いことから、複数の外国企業が買収に名乗りを上げていた。

ペルーの大規模銅山も保有

五鉱資源が海外の鉱山を買収するのは、実に約10年ぶりだ。同社は2014年、世界最大級の資源量を誇るペルーのラスバンバス銅山を58億5000万ドル(約8696億円)で買収し、2016年から商用採掘を開始した。この取引は、五鉱資源が主力事業を亜鉛から銅にシフトする契機になった。

しかしその後、五鉱資源はラスバンバス銅山や(それ以前に採掘権益を獲得した)オーストラリア・クイーンズランド州のドゥガルド・リバー亜鉛鉱山、アフリカ・コンゴ民主共和国のキンセビア銅山などの開発に注力し、新たな買収はしていなかった。

五鉱資源の発表資料によれば、コエマカウ銅山の確認資源量は(鉱石から製錬した)金属の銅換算で約640万トン。現地のプラントは年間5万トンの銅精鉱を生産できる能力を持ち、2028~2029年にはそれを年間13万トン超に拡大する計画だ。

同鉱山の生産能力拡大の投資額について、五鉱資源は7億2000万ドル(約1070億円)と見積もる。さらに、生産能力拡大後のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を年間約6億ドル(約892億円)と予想している。

この数字に基づくと、キュープロス・キャピタルの株式取得費用と生産拡大投資の合計額に対するEBITDAの倍率は約4.3となる。これについて五鉱資源は、鉱山業界のM&A(合併・買収)の平均値を下回っており、コエマカウ銅山の買収価格は割高ではないと説明する。

再エネや脱炭素の潮流に期待

五鉱資源はさらに、今回の取引はリスクが低く、同社の業績に対して直ちに増益効果をもたらすと強調。コエマカウ銅山の買収により、会社の事業規模が拡大するとともに、(相対的に利益率が高い)銅関連事業の比重を高められるなどのメリットを列挙した。

「わが社はコモンメタル(汎用金属)としての銅の将来性に自信を持っている。(再生可能エネルギーの導入拡大や脱炭素の推進など)世界のエネルギー利用の転換が加速するとともに、銅の需要は長期的拡大が続くだろう」

五鉱資源の董事長(会長に相当)を務める徐基成氏は、声明のなかでそう見解を述べた。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は11月21日

財新 Biz&Tech

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