ChatGPT以後の時代、学びと学校はどう変わるか 主体性のない人がAIに代替されうる根本理由
東洋経済オンライン / 2023年12月8日 12時30分
経済と社会が変わろうとするなか、これまでの人生設計に合わせて作られた教育制度も変化を余儀なくされている。
新しい環境、新しい技術の下で、これからの教育制度はどうなっていくのか。先端的な学校改革を実現し教育界で注目を集める熊本市教育長の遠藤洋路氏と、日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」を主催し、『16歳からのライフ・シフト』の監修を務めた宮田純也氏が語り合った。
その模様を3回に分けてお送りする(今回は2回目)。
*1回目:「人生100年、学校教育は何をどこまで教えるのか」
【漫画】まんがでわかるLIFE SHIFT 100年時代の人生戦略
自分で判断し、行動する人を育てる
宮田純也(以下、宮田) いまどのような教育改革を行っているか教えていただけますか。
遠藤洋路(以下、遠藤) 教育理念として、熊本市は「豊かな人生とよりよい社会」を目標にしています。その実現のために、「自ら考え主体的に行動できる人」を育てたい。
自分の人生、そして自分の周りの社会をよりよくするために何が必要か。それは、何をすべきかを判断して行動する、ということの繰り返しではないでしょうか。
人生100年時代に求められることも同じだと思います。将来自分がどうなるかは正直わからない。そのときの状況に合わせて、自分で判断し、行動していく。人生100年時代の要請と、熊本市がやろうとしていることは、まさに一致していると思います。
具体的には、自分たちの町の課題は何か、大変な思いをしている人のために何ができるか、観光客を呼ぶにはどうしたらいいか、特産品を広く知ってもらうにはどうしたらいいか、ということを調べて、議論して、フィードバックをもらって改善していくという実践を、学校の授業でもやっています。
遠藤 毎年「Kumamoto Education Week」というオンラインのイベントを続けていて、ここでも、モデルになるようなプログラムをいくつか公開しています。
宮田 教育へのアクセスをどう広げていくかという点からも興味深いイベントですね。
遠藤 前回も触れましたが、これまで技術的にできなかったことが、できるようになっている。1人1台の端末を持っていれば、クラス全員の意見をあっという間にシェアすることもできます。
順番に発表してもらって、他の人はそれを聴きながら待っているというこれまでの授業では、手を挙げて意見を言うのはハードルが高いという子もいます。そうした子でも、みんなに自分の意見を見てもらえて、ちゃんとフィードバックを得られるという技術ができている。
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