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半導体商社マクニカ「同業買収」の鍵はルネサス 中堅商社グローセルに対し2024年2月メドにTOB

東洋経済オンライン / 2023年12月8日 7時30分

横浜市に本社を構えるマクニカ。売上高は1兆円超、23の国・地域にネットワークを持つ(記者撮影)

「次に『ルネサスに切られる』筆頭候補はグローセルだった。今回の買収は、さもありなんという感じだ」

【図】PBR1倍割れのゾーンに多くの半導体商社がひしめく

とある中堅半導体商社の幹部がこう評するのは、半導体商社業界で国内首位のマクニカホールディングス(HD)が発表した同業・グローセルの買収だ。

マクニカHDは11月27日、中核子会社のマクニカがグローセルに対してTOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。TOB価格は1株645円で、直近終値に対して38%のプレミアムを乗せる。2024年2月をメドに買い付けを始める。グローセルは完全子会社化され、上場廃止となる見込みだ。

売上高は2社で大きな差

半導体メーカーから半導体を仕入れ、電機メーカーなどの顧客に販売する半導体商社。その中でも2015年に同業2社の統合によって誕生したマクニカHDは、国内で唯一、売上高1兆円規模を誇る圧倒的な存在だ。海外メーカー製半導体の販売に強く、売上高の海外比率は50%に達する。

一方のグローセルは、700億円程度の売り上げの中堅商社。日立製作所の販売代理店としてスタートし、現在は国内半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス製品の販売が売上高のおよそ7割を占めている。

半導体商社業界は他業種の商社に比べ、小規模なプレーヤーの数が多く再編の余地が大きいことが特徴だ。

売上高とPBR(株価純資産倍率)を軸に、上場している主な半導体商社のポジションをプロットしたのが、次ページの図だ。

図でわかるように、売上高2000億円前後かつ、PBR1倍割れのゾーンに多くの商社が団子状態でひしめいている。

PBR1倍割れは、理論上、会社を解散して資産を分配したほうが株主の利益になる状態。一方で再編など売り上げ規模が大きくなればPBRも改善する傾向にあるため、ファンド株主などに狙われやすい。

この乱戦状態を抜け出すかのように、今年5月に中堅商社のリョーサンと菱洋エレクトロが経営統合することを発表した(詳しくは7月配信の『村上世彰氏が再来、「半導体商社」に再編の機運』)。

マクニカによるグローセル買収は、今年2件目となる大きな再編案件だ。ただ、リョーサン・菱洋エレクトロが規模や製品ラインナップの拡充を目指した統合であるのに対し、少し毛色は異なりそうだ。

ルネサス「商流リストラ」の余波

「ルネサスに切られる筆頭候補はグローセルだった」と、他社幹部が表現したように、今回の再編の背景にあるのはルネサス製品の販売権をめぐる動きだ。

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