無印が過疎地のビルで「3フロア借り上げた」結果 無印良品はいかに「土着化」しているか(2)
東洋経済オンライン / 2023年12月10日 11時20分
店舗拡大を進める一方で、出店する各地域で「コミュニティ・マネジャー」を設け、地元と交流しながら「個店経営」を進めている無印良品。本稿では、その成功事例の1つとなった新潟・直江津の店舗、そして、地元のリーダーとタッグを組んだ北海道・函館のコミュニティ・マネジャーたちがいかに地元の課題に寄り添いながらそれを「商い」に変えたかという事例を見ていきたい。
【写真】無印良品が手がける函館西部地区の青柳町での訪問販売の様子
「もの」より「こと」が大事
かつてテナントだったイトーヨーカ堂の後に入り、世界最大規模の店舗となった直江津を任された古谷信人は、自分で口下手というように、地域の会合に出かけても、皆の言うことにずっと耳を傾けている。そして話が行き詰まり意見を求められると、解決案を話し始める。
京都から赴任してきた古谷だが、こうした話を聞く姿勢が好感を持たれ、徐々にコミュニティの一員として頼りにされるようになっていく。困りごとがあると、彼の考えを聞く人も出てきた。
直江津店をオープンする直前にも地元の高校の先生が古谷に相談を持ちかけた。
「せっかく無印良品ができるので、卒業の思い出になる物を贈りたい」との相談だった。無印のボールペンに卒業記念を刻んで渡すといった案が出された。
古谷は、よく話を聞いたうえで生徒の立場で考えた。彼らの中には、卒業後に進学や就職で上越を離れる生徒も少なくない。無印のペンを贈られて本当にうれしいだろうか。物珍しいので、しばらくは持っているかもしれない。
「もの」より「こと」が大切だと古谷は思った。地方の過疎化の1つの理由は、若者が地元を離れて都会に住みつくことである。もし、若いときに体験した故郷での感動を覚えていれば、いつか戻って来たくなるかもしれない。
少しでも感動に貢献できればと、オープン直前の1日を高校生たちに貸し切りで解放することにした。まだ、だれも体験したことのない無印の最大店舗を独占し、仲間たちと歩き回る。この日は、彼らにとって忘れられない思い出となったようだ。
「東京にある無印は、大したことない。故郷の直江津の方がいい」。そう思ってくれれば、と古谷は願っている。
「学校でやってはいけないこと」をする
少子化の進む地方は、小学校の統廃合も進む。直江津地区も例外ではなく、地元の小学校の廃校が決まったときにも、「何をしたらいいだろう」と古谷は尋ねられた。保護者たちや町内会の人々とアイデアを出し合った。
この記事に関連するニュース
-
【JAF新潟】上越市「無印良品 直江津」においてJAF会員向け優待サービスを開始しました!
PR TIMES / 2024年5月16日 13時15分
-
無印良品 捨てられる素材を活用したおやつ 発売のお知らせ
PR TIMES / 2024年5月14日 16時15分
-
ヨーカドーの跡地が「世界最大級の無印良品」に…過疎地の商業モールを復活させた「社会的品揃え」の魅力
プレジデントオンライン / 2024年5月11日 9時15分
-
5/17(金)~ 横浜市限定 横浜の3つの動物園をモチーフにした大判ハンカチ 新発売のお知らせ
PR TIMES / 2024年5月10日 11時15分
-
良品計画の24年8月期上期決算が増収大幅増益!国内復活のけん引役は
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月21日 20時59分
ランキング
-
1消えゆく「回転レストラン」…80年代には全国50店→再開発・老朽化で数店舗に
読売新聞 / 2024年5月18日 15時0分
-
2農林中金が1兆円規模の増資検討…米金利高で外債の含み損拡大、5000億円赤字の見通し
読売新聞 / 2024年5月18日 23時10分
-
3「定年コロリ」という言葉も…長年のシフト勤務が〈睡眠の質〉や体に及ぼす影響は?【スタンフォード大教授が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月18日 17時15分
-
4“スーパー化”するドラッグストア 野菜や肉・魚のほか店内調理のパンや総菜も並ぶ 専門家「男性顧客も視野に入れて食品を強化か」
MBSニュース / 2024年5月18日 13時20分
-
5東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください