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経済学者が考える良いモデルと悪いモデルの違い データを使って世の中の出来事を分析するには

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 10時0分

まず、モデルとは何か、データを使ってモデルをどうやって検証するのか、ということから説明しよう。

かつては誰もが、地球は平らだと信じていた。今では誰もが、地球はフリスビーではなくビーチボールのような丸い形だと知っている。

だが平面モデルはいまだに使われている。ガソリンスタンドで売っているのは、平面の道路地図だけだ。カーナビの地図も平面図で、車のダッシュボードに地球儀を入れている人はいない。

平面地図も地球儀も、どちらも地球の表面を表したモデルだ。モデルは、世の中の出来事を簡単化して描写したり、説明したりする。

シンプルで便利であることが大事

モデルは単純化されたものであり、現実を完全に再現したものではない。平面地図が地球の表面を正確に描いたモデルでないのは明らかだ。曲線の曲がり具合(曲率)が歪められている。

ただし、ニューヨークから東京に行くときは曲率は重要だが、ニューヨーク市内を観光するときには地球が球状かどうかを意識する必要はない。

科学者は(通勤者もそうだが)、当面の問題を分析するのに最も適したモデルを使用する。(地球は平らだという)間違った想定に基づくモデル(地図)であっても、将来の予測をしたり、計画を立てたりするのに役立つこともある。

モデルについて言えば、厳密に正確であるよりも、シンプルで便利であることのほうが重要性を持つ。

科学的モデルによる予測はすべて、世の中を描写する事実や測定結果、統計などのデータを使って検証できる。 

経済学者は実証的エビデンスを構築するためにデータを使用するので、自分たちを経験主義者または経験主義の実践者と呼ぶことがよくある。

このような用語はすべて、次の基本的アイデアに帰着する。それは、世の中の出来事に関する問題に答えるために、またモデルを検証するために、データを使用するということだ。

たとえば、ニューヨーク市内の地下鉄路線図なら、その地下鉄に実際に乗って路線図の正確性を確認することで地図モデルを検証できる。

経済学の実証分析では、モデルによる予測を仮説と呼ぶ。

その仮説が利用可能なデータと矛盾するたびに、経済学者はまた振り出しに戻って、新しい仮説を導き出す、より良いモデルを見つけようとする。

経済モデルの例

経済モデルの例を考えてみよう。ここでは極めて簡単化したモデルについて検討する。

しかし、ここでの例よりずっと複雑な経済モデルもまた、現実を極めて単純化したものである。

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