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経済学者が考える良いモデルと悪いモデルの違い データを使って世の中の出来事を分析するには

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 10時0分

経済モデルはすべて仮定からはじまる。教育の便益について次のように仮定しよう。教育に投資する年数が1年増えるごとに、将来賃金は10%ずつ増える。

そして、この仮定をもとに、ある人の教育レベルと賃金を関連づけるモデルを作ろう。

賃金が10%増加するとは、元の賃金に1+0.10=1.10を掛けることと同じだ。

この仮定によれば、1年長く教育を受けた人はそうでない人と比較して1.10倍の賃金を得る。たとえば、13年間の教育を受けて時給15ドルで働いている人が、もう1年、計14年間の教育を受けたとしたら、その人の時給は1.10×15ドルで、16.50ドルに上昇することになる。

経済学では仮定を使って、インプリケーション(含意)を導き出す。

たとえばこの仮定に従うと、教育年数が2年増えたら、賃金が10%ずつ2回増えることになるので、合計で21%増える。

1.10×1.10=1.21

では教育年数が4年増えるとしてみよう。10%の賃金の増加が4回あるということなので、合計で46%増えることになる。

1.10×1.10×1.10×1.10=(1.10)4=1.46

これは、大学を卒業する(4年間の教育を受ける)と、高校で教育が終わった場合と比較して、所得が46%増えることを意味する。

言い換えると、このモデルの予測(仮説)では、大卒の所得は高卒の所得より46%高い、ということになる。

ちなみに、ほとんどの経済モデルは、これよりはるかに複雑だ。仮定からインプリケーションを導き出す数学的な分析に何ページも割いている経済モデルはたくさんある。

とはいえ簡単なモデルは、議論の良い出発点になる。

ダロン・アセモグル:米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授

デヴィッド・レイブソン:ハーバード大学経済学部ロバート・I・ゴールドマン記念教授

ジョン・A・リスト:シカゴ大学経済学部ケネス・C・グリフィン特別功労教授

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