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ド文系でも腹落ち「微分」を成り立ちから理解する ズボラな発想から緻密な予測をする数学が生まれた

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 11時0分

それは、私たちよりも地球の方がはるかに大きいので、球面上に住んでいることを実感できないからです。だからこそ昔の人類は、世界はお盆のように平らだと思い込んでいました。

それと同じように、全体としては曲線のグラフでも、その一部を虫メガネで拡大して見れば直線に見えるわけです。あるいは、自分がアリよりもずっと小さな小人になって曲線の上に降り立ったと考えてもいいでしょう。

地球に住む私たちが大地を平らだと勘違いしていたように、あなたは曲線のことを直線と思い込むに違いありません。この“ズームアップ”は、先ほどの“短い時間を考える”ことと同じ意味になります。つまりは微分の発想です。

例えば、砲弾が時速100キロで飛んでいるとすると、それは1秒で約28メートル進むことを意味します。28メートルというと、バスケットボールのコートの縦の長さと同じなので、けっこうな距離です。砲弾が28メートルも進んでいる間には、その進行方向もそれなりに変わってしまうでしょう。

では、その100分の1の時間、すなわち0.01秒ではどうでしょうか? 0.01秒で進む距離は約28センチです。これだと、千円札を横に2枚並べたくらいの長さなので、砲弾はほんの少ししか進んでいないことになります。なので、砲弾の飛ぶ方向もほぼ変わらないでしょう。

「グラフの接線を求める計算」だと教わる理由

つまり、砲弾は放物線に沿って動いているのですが、ほんの短い時間を切り取れば、砲弾はほぼ直線的に進んでいると考えてよいのです。より具体的に言うと、接線の方向に進んでいると考えることができます。

つまり、砲弾が敵に当たる瞬間も含め、ある瞬間における砲弾の進行方向を知ることは、軌道の曲線の接線を求めるという数学の問題に置き換えられるのです。

このように、微分とは、“その瞬間の変化を考えること”です。それは、グラフでいえば「接線を求めること」を意味します。こうした背景があるので、高校では「微分とはグラフの接線を求める計算のこと」だと教えているわけです。

冨島 佑允:クオンツ、データサイエンティスト

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