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会社の「実質強制ボランティア」を断る4つの方法 大阪府・大阪市「優勝パレード」から見る問題点

東洋経済オンライン / 2023年12月14日 8時30分

この点、報道されているところによると、大阪府市を合わせて3000人のボランティアを集めると目標人数を設定したり、ボランティアの募集が職制を通じて行われ、上長からの意思確認もあったとのことで、状況を総合勘案すると、純粋なボランティアではなく、法的には「業務性あり」と判断するのが妥当でしょう。

いずれにしても、大阪府や大阪市の職員が、労働基準法に違反してボランティアという名目の無償労働をすることは、回避すべきであるというのが、労働法の専門家である筆者の視点からの意見です。

会社の清掃活動やお祭り参加のボランティアは?

今回は、公務員のボランティアの事例でしたが、民間企業においても、同様の事案は少なからず発生します。

例えば、会社が、地域の清掃活動や、お祭りなどへの参加を「ボランティア」として社員に命ずる場合が考えられるでしょう。

このようなとき、たとえ「ボランティア」という名目であったとしても、事業主や上司から「参加をしてください」と明確に命令された場合は、間違いなく「業務」扱いになります。

明確な命令ではなくとも、参加をしないと人事考課にマイナスの影響を与える場合や、職制による圧力で事実上断ることが困難な場合も「業務」扱いと考えるのが妥当です。

とはいえ、社内の人間関係や「居心地」などのことを考えると、上司から参加を事実上強制されている状況の中で、「ボランティアであるならば辞退します」とか「業務扱いにならないなら参加しません」などと、正面から断ることができる人は少ないと思います。

そのようなとき、どうすればよいかですが、以下4つの対応が考えられます。

第1は、社内の人事部やコンプライアンス部門への相談です。ボランティアを強制しているのが会社ぐるみではなく、所属部署の方針や、直属の上司の考え方によるものであれば、社内的な相談により円満に解決できる可能性があります。

第2は、集団での交渉です。自分1人だけで交渉するのは心理的ハードルが高いですし、集中攻撃を受けるリスクがあります。しかし、ボランティアを強制する会社の方針に疑問を持つ社員が自分以外にもいるのであれば、人数を集めて会社と交渉するというのも手です。

「そんなに多くの社員が反対していたのか」ということがわかれば、会社側も対応を変える可能性があります。状況によっては、労働組合を結成して、正式に法的な意味での団体交渉を申し込むということも考えられるでしょう。

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