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NHKが「テキストニュース」を次々に閉鎖する懸念 「放送と同様」でネット受信料を取るつもり?

東洋経済オンライン / 2023年12月15日 8時0分

将来はともかく、現時点で受信料は8割弱の世帯が払っている。ネットでのニュースもNHK自らが契約者に提供を進めてきたものだ。それを勝手に方針変更し、私たちの知る手段をなくしていくとは一体どういう了見だろう。国民より、上層部への忖度や新聞協会の圧力を重視しているのは、大変な裏切り行為だ。そんなNHKに受信料を払う価値があるのだろうか。

そもそもNHKは自分たちのやっていることが方向性としておかしいことに気づいていない。目的は、放送から若い人々が離れてもネットだけでの受信料を取ることのはずだ。それなのにネットでのサービスを閉鎖していくのは、進むべき道が逆なのだ。ネットでの情報提供を増やしてこそ、ネット受信料の可能性も高まる。逆に減らしてどうするというのか。

若い世代が「NHKプラス」の契約をしてくれると考えているのかもしれない。だが同時配信や見逃し配信を見たがるのは、すでにNHKを利用し慣れ親しんでいる人々だ。

実際、私は便利に使っている。外出先でもいつもの番組が見れる。うっかり朝ドラ「ブギウギ」を見逃してもあとでゆっくり見られる。SNSで話題になった前日の番組も簡単に確認できる。それは「いつも見ているNHK」だからこその便利さだ。

一方、そもそもNHKを見ない若い世代は「NHKプラス」に何の価値も感じない。大河や朝ドラを見る若い世代はごくごくわずか。ニュースはネットで無料で見るもの。地震が起きてもテレビはつけずにスマホで震源地を確認する。「推し」が出る音楽番組やドラマなら見てくれる可能性はあるだろうが、仮にそのためにネット受信料契約をしてくれたとしても、その番組が終われば即解約されるだろう。「NHKプラス」はそれ単独ではサブスクサービスでしかない。Netflixなどと同じ扱いになり、移ろう顧客しか獲得できないだろう。

サブスクサービスとの差別化

確かにTVerは伸びている。いまや月間3000万UB(ユニークブラウザー)を誇るサービスでもっと伸びるだろう。だが、無料だからだ。面白いドラマやバラエティが、広告付きで無料で見られるから伸びている。一方、民放テレビ局が運営するサブスクは苦戦している。Huluは300万人程度から伸び悩み、TBSとテレビ東京、WOWOWが組んだParaviはU-NEXTに統合された。テレビ番組を有料で見てもらうのはハードルが高い。

ネットでは特定のユーザーにサービスをターゲティングする必要がある。実はNHKはLINEでニュースを配信してきた。若い女性をターゲットとし、それに合わせたニュースを選んで掲載していたら、伸びてきた。日々、データと取っ組み合い試行錯誤した成果だと聞く。ところが今、LINEに出すニュースはテレビの「ニュース7」に準じるよう指示が出ているそうだ。「放送と同様」にするためだ。これには笑った。ネットでの読者を馬鹿にした指示だ。そしてユーザーより局内の方しか見ていないことが露呈する話。こんな指示を平気で出すメディアが、ネットで受信料など取れるはずがない。

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