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新幹線通勤、恩恵だけでなく「生産性」も問われる 定時運行・命のJR東海社員が試される「自由」

東洋経済オンライン / 2023年12月16日 8時0分

新幹線通勤が浸透すれば、ビジネスパーソンの働き方も変わるか?(撮影:尾形文繁)

JR東海が2024年1月から「新幹線通勤」を本格的にスタートさせる。現在は片道300キロメートルまで(東京駅なら愛知・豊橋駅まで)だが、これが最長で「東京ー新大阪」の550キロメートルの通勤が制度上可能となる。現状では人事部から試行的に始めているが、主要な労働組合との交渉で合意に達し、来年から本格的に導入される構えだ。

【写真】「成果もしっかり上げてもらう」と語るJR東海幹部

現在、JR東海には現業(鉄道の運行や保全などの現場)・非現業(主にオフィス勤務など)を含め全社で約2万1000人(出向者含む)いるが、実は現在でも新幹線通勤をしている人は3400人もいるというから、少ない数字ではない。うち非現業は1100人。最も多いのは「品川ー新横浜」間のパターンだという。

来年1月から対象になるのは、非現業であるオフィス勤務の約6000人だ。部門にもよるだろうが、現在の1100人が新制度でどれだけ増えるか、今から注目される。

移動中の執務=仕事。通勤代も全額出す

新幹線通勤でまず注目されるのは、決して短くはない、通勤時間の扱いだ。JR東海では現状、在来線で通う通勤者と同様に、移動時間は執務として認められていないが、来年からは「執務」(=仕事)として堂々と認められる。車中でPCを開いて、メールを返信したり、会議の資料を読み込んだりすることもできるだろう。週7.5時間が上限だが、週5日勤務として、1日1.5時間を充てられる。

通勤にかかる費用は全額が会社負担(業務利用の乗車はもちろん会社負担=無料)。NTTなど新幹線通勤を認めている会社は、税控除の関係から月15万円を上限にしているケースが多いが、これは交通費の非課税限度がその額までと定められているから。JR東海はこれを取り払い、本人の持ち出しは無しとする。

ちなみに新幹線の場合、通勤定期としては現在でも、「東京ー新大阪」間は販売していない。仮に来年、同社で同区間の通勤者が現れたとしても、特別に社員向けに発行することはなく、例えば、今ある「東京ー豊橋」「豊橋ー新大阪」の定期券2枚を利用することになるという。座席も基本は自由席で、ビジネスブースなどは一般客向けなので使えない。

新幹線通勤だけではなく、JR東海では、来年から「スマートワーク」と名付けて、働き方を大きく見直す意向だ。

現行はフレックスタイムのうち、必ず勤務しなければならないのは11~14時。これが今度は、7~22時の間であれば、コアタイムの3時間をどこでも任意で選択可能になる。フルリモートを導入しているIT企業に比べれば、何ということなく見えるが、1年365日、始発から終電まで電車が動いている鉄道会社にとって、柔軟な働き方を取り入れるのは簡単でない。

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