オーケーやロピア、首都圏ディスカウントの大激戦 消費者の価格選好が強まり地場スーパーは危機
東洋経済オンライン / 2023年12月17日 10時0分
昨年から今年にかけて、「値上げラッシュ」ともいわれてきた食品の価格改定がようやく一段落してきた。
帝国データバンクが毎月、主要食品メーカー195社の価格改定品目数を調査している。それによると、2023年はここまでの累計で3万2189品目(月平均2682品目)と多くの食品が値上げとなったが、11月は131品目、12月は628品目と大幅に減少した。2024年以降も月200件ほどの予定ということだ。
値上げが収まったようにも聞こえるが、値上げする数が減っただけであって、食品の価格は高くなったままの状態が続いていくということである。
消費者にとって食品購入時の価格の重要性が以前より高まる中、オーケーやロピアなどのディスカウントストアが攻勢を強めている。今後のわれわれの買い物環境はどのように変化していくのか見ていこう。
物価上昇で実質的な収入の目減りが続く
帝国データバンクの分析では、これまでの原材料等の価格転嫁はある程度進んだものの、今後も円相場の動向や物流費の上昇などの懸念が残っているため、予断を許さない状況だとしている。ただ、消費者の「値上げ疲れ」が顕在化しつつあり、店頭での買い上げ点数の減少も見られるようになっている。
メーカー側としても、値上げには慎重な姿勢とならざるをえず、しばらくは沈静化が期待できるようではある。とはいえ、賃金が上がらない中で急速な物価上昇に見舞われた消費者の家計への影響は現時点でもかなり大きい。統計をすこしみてみよう。
この図表は、賃金の動向に物価変動を加味した実質賃金(指数)の増減を表したもの。ニュース等でご存じかもしれないが、2023年10月の時点で19か月連続マイナスという状況が続いている。消費者の実質的な収入が、物価上昇によって目減りしている状況が続いているということで、すでに家計はかなり圧迫されている。
国もこの状況をわかってはいるため、産業界に賃上げを強く要請しているが、対応できているのは大企業であって、中小企業ではほとんど実施できていない。
このため、まずは中小企業の大企業向けの価格転嫁を進めることで、賃上げ原資を確保する政策を実施しつつある。未だ道半ばであるため中小零細企業で賃上げが浸透するまでには、相当な時間を要することになるだろう。
所得が少ない層の家計に大ダメージ
こうした背景を踏まえながら、家計調査のデータから2023年1月以降の所得階層別の家計への影響具合をみると、あたりまえだが、所得が少ない層(中小企業勤務者が多いと推定)ほどダメージが大きいことがわかる。
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