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中国新興EVメーカーが「タイで現地生産」を開始 哪吒汽車、価格性能比を売り物に拡販目指す

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 18時0分

哪吒汽車の「ネタV」は、200万円台前半の手頃な価格でタイの消費者の心をつかもうとしている(写真は同社タイ法人のウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの哪吒汽車(ネタ、会社名は合衆新能源汽車)は11月30日、同社のタイ工場で現地生産した小型EV「ネタV」の第1号車がラインオフしたと発表した。同工場は年間2万台の生産能力を持ち、2024年1~3月期から量産を始める計画だ。

【写真】哪吒汽車はタイの車両組み立てメーカーと提携し、現地生産を短期間で実現した。写真は「ネタV」の現地生産車のラインオフ式典

哪吒汽車は初の海外進出先としてタイを選び、2022年8月から中国で生産したネタVの輸出を開始した。このモデルは価格性能比の高さを売り物にしており、現地での希望価格は54万9000バーツ(約230万円)からだ。

「東南アジアの需要にマッチ」

「わが社の製品は(低価格で実用的なEVを求める)東南アジア市場の需要にマッチしており、強い競争力がある」。哪吒汽車のCEO(最高経営責任者)を務める張勇氏は、2022年5月に財新を含むメディアの取材に応じた際に、そう自信を示していた。

自動車専門メディアのオートライフ・タイランドによれば、タイ市場におけるネタVの販売台数は2023年1月から9月までの累計で9294台。EVのモデル別の販売ランキングで、首位のBYDの「アット3」に次ぐ第2位に入った。

タイ政府はEVの普及および関連産業への投資を後押ししており、2022年6月から一連の優遇政策を施行。EVの購入者に1台当たり最大15万バーツ(約63万円)の補助金を支給するほか、(購入時にかかる)付加価値税率を8%から2%に引き下げた。ただし、優遇の対象は(2024年以降は)タイ国内で生産されたEVに限られる。

そんななか、哪吒汽車はタイの車両組み立てメーカーのバンチャン・ゼネラル・アセンブリー(BGAC)と2023年3月に提携。EVの組み立て工場を共同建設することで合意した。BGACはタイで(海外メーカーのノックダウン方式による)車両組み立てを50年以上手がける老舗企業だ。

日本車の牙城を崩せるか

タイの自動車市場では、日本の自動車メーカーが長年にわたり高い市場シェアを維持してきた。日本メーカーはEVシフトの出遅れが指摘されるが、タイ市場に詳しい関係者によれば、ここにきて巻き返しの動きを加速している。例えばトヨタは、ピックアップトラック「ハイラックス」のEVモデルを近く投入する予定だ。

ピックアップトラックはタイの自動車市場で高い人気があり、年間80万台前後の市場規模の約半分を占める。残り半分の乗用車市場はメーカーの数が多く、限られた需要を奪い合っている。

業界関係者の間では、2024年以降は乗用車のEVに関しても過当競争が始まるとの見方が多い。そんななか、哪吒汽車はもくろみ通りに販売を伸ばすことができるのか、勝負はこれからだ。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は12月1日

財新 Biz&Tech

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