ENEOS「社長セクハラ解任」も安易に非難できぬ訳 むしろ自浄作用が適切に機能した事例と言える
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 17時30分
石油元売り最大手のENEOS(エネオス)ホールディングスは12月19日、斉藤猛社長(61)を解任したと発表しました。2代連続で経営トップが不祥事で辞める事態となっていますが、筆者は「さまざまな論点が浮かぶが、コンプライアンスにかかわるガバナンスが利いた結果だ」と指摘します。
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日本を代表する企業から、ふたたび不祥事
「日本で一番の大きな会社はどこ?」。先日、息子と話していた。これが売上高の意味とすれば、もちろん1位はトヨタ自動車だとわかった。なお、2位は三菱商事で、3位はホンダだ。面白いと思って、その続きを調べてみると、意外なことに4位はENEOSホールディングスで、5位は三井物産である(当原稿執筆時点)。
イメージと違うかもしれない。とくに4位のENEOSホールディングスを想像しなかった読者は多いだろう。同社は、日本を代表する企業だ。売上高は15兆円にいたる。ホールディングスの傘下にはENEOS、ENEOSマテリアル、ENEOS Power、ENEOSリニューアブル・エナジー、JX石油開発、JX金属を抱えている。
ガソリンスタンドの印象が強いだろうが、とんでもない。LNG(液化天然ガス)の独自開発を行い、バイオマテリアルの開発を推進し、水素エネルギーの活用や二酸化炭素の吸収技術も有する。すなわちエネルギー事業全般を行うジャイアントだ。
そのようなエネルギー・ジャイアントの企業から、ふたたび不祥事が聞こえてきた。
同社は、12月19日に斉藤猛社長を解任したと発表した。正確には代表の役は解任され、取締役は辞任。その理由は、内部通報で不適切行動が指摘されたからだ。11月末に内部通報があり、調査と事実確認を進め、この決断にいたった。
内容は酩酊状態で、女性に抱きつく事態があったという。なお、昨年に当時の会長が性加害で辞任しているから立て続けの“事件”となる。
同氏は自制が利かないほどの飲酒だったとした。同時に同席した副社長は辞任した。また同じく同席した常務執行役員は、不適切な発言があり月額報酬を3カ月、30%減額する。
2年連続の不祥事、さすがに多くの論点が浮かぶ
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