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ENEOS「社長セクハラ解任」も安易に非難できぬ訳 むしろ自浄作用が適切に機能した事例と言える

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 17時30分

なお、ざっと考えただけで次の論点が思い浮かぶ。

・同社は決算資料でも女性活躍推進や従業員エンゲージメントの向上を、相当に力を入れて説明していた。ただ、それを説明する上層部の意識改革が進んでいなかったのではないか。
・同社のコンプライアンスでは「従業員が上長との面談を通じ、疑問・懸念を含めたコンプライアンス上の問題点を洗い出し、法令等違反行為の未然防止と早期の発見・是正」と謳われているが、上長の存在しない上層部は防げないというわけか。
・内部通報の一報の前に、同席していた他の取締役や執行役員(やその他社員)は、その場で注意を促さなかったのだろうか。

ところで、これは同社と関係がない、ただの一般論というか私の独り言だ。

これまで何十年と酒席の場で寡黙に飲み続けていた人が、いきなり女性に抱きついたりするものなのだろうか。おそらく、周りが驚いて狼狽したり、止めたりするにちがいない。昔から似たようなことをやっていた可能性があると思う。そして若い頃からハラスメント行為をする傾向のある社員を、上に引き上げるのはきわめて危険な時代になったといえるだろう。

なお、ここまでで私の独り言は終わる。

ところで、冷静に論じるのであれば、大企業としてENEOSのコンプライアンスにかかわるガバナンスが利いた結果ともいえよう。

令和の今でも、未だにトップがこんなことをしている企業は、中小企業を含めれば、まだまだ残っているはずだ。もしあなた自身やあなたの家族が勤務する会社の飲み会で同様のことが起きた場合に、経営トップであってもきちんと処分されるのか……そう問われて、自信を持って「はい」とうなずける人はどの程度いるだろうか。

今回の行動そのものや、2代続けて経営トップが不祥事を起こしたことは決して褒められることではないが、簡単に批判できるものでもないのも、悲しいが現実ではないか。

監査役の仕事内容、役割とは?

ところで私が某大企業で勤務していたとき、「監査役」なる人の仕事内容を知らなかった。たまにエレベーターで会って会釈するくらいの接点しかない。冠のような仕事だと感じていた。

しかしとんでもない。監査役は現在では重要な役割を担っている。企業は内部通報制度を有する。そしてその内容は監査役がチェックする。そして重要な事象については対処する。

会社は株主のものである。株主は取締役を選ぶ。取締役会は代表取締役を選ぶ。株主は業績向上を通じて、企業価値(資産価値)を最大化してくれるか激しくチェックする。そして取締役会で経営の重要事項を決定し、それを執行役員以下が実務を遂行する。

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