1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ENEOS「社長セクハラ解任」も安易に非難できぬ訳 むしろ自浄作用が適切に機能した事例と言える

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 17時30分

株主はつねに企業内部を監視できるわけではない。ハラスメントなど、めちゃくちゃな行為が横行しているのは社会通念的にも許されない。そこで、監査役は経営陣を牽制しながら、健全な企業経営を実現させる。

もちろん、経営陣が女性に抱きついているので、同社を「褒める」という表現はおかしいかもしれない。ただ同社の対応を見ると、やるべきことをやっている。

・コンプライアンスホットラインに通報があると、すぐさま調査を開始(なお11月末でありスピード感がある)。監査等委員会ならびに外部弁護士と連携し、事実であると認定
・前述の通り、速やかに3氏の処分を決定。取締役会において勧告、実施
・クローバック・マルス条項を適用し、(元)代表取締役社長の月額報酬・賞与・株式報酬の一部返還・没収を行う。*なお、クローバック条項は「役員に重大なコンプライアンス違反等があった場合、支給後の役員報酬の全部または一部を返還させる条項」であり、マルス条項は「同様の場合、支給前の役員報酬の全部または一部を没収する条項」で、同社はガバナンスにおいて謳っている(https://www.hd.eneos.co.jp/esgdb/governance/system.html)


・同社だけではなく、子会社においても同様の解任を実施
・弁護士費用を含む一切の費用は、同社に生じた損害であるため別途求償
・その他、前述の3氏以外も、コンプライアンス上の責任があるとして取締役メンバーが報酬を自主返上
・コンプライアンス強化に向けて施策の検討

上記から、繰り返すと、ハラスメント自体は当然ながら由々しき事態だが、事後対応としてはガバナンスが利いた結果だといえる。さらに対応も明確だ。

ENEOSの今後に期待

ところで、同社は2023年2月に「人権尊重・コンプライアンスに関する取組みの強化・再徹底について」をリリースしている。これは当時の元会長の不祥事を受けたものだった。

そこには「人権尊重・コンプライアンス徹底意識の維持・確認施策の実行」とあり、「選任された取締役の人権尊重・コンプライアンス徹底意識を維持し、また、適切に維持されていることを確認するため、それらに関する各種研修を定期的に実施することを決定しました」とある。

もちろん、同社の社員も執行役員も取締役も、定期的な研修だけでコンプライアンス徹底の意識が植え込まれるとは思っていないはずだ。研修に加えて重要なのは、健全な企業風土を醸成することだ。

この事件が氷山の一角ではないことを祈る。

坂口 孝則:調達・購買業務コンサルタント、講演家

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください