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「人のせいにする子ども」大量に生んだ日本の教育 工藤勇一×西岡壱誠「教育の役割」対談【前編】

東洋経済オンライン / 2023年12月21日 10時30分

子どもが本来もっている「主体性」。それを損なってきた「日本の教育」のあり方を、横浜創英中学・高等学校の校長として同校の改革に取り組む工藤勇一氏が指摘します(撮影:今井康一)

千代田区立麹町中学の校長として、「宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止」などの教育改革がメディアなどで話題となった工藤勇一氏。現在は横浜創英中学・高等学校の校長として同校の改革に取り組むとともに、『考える。動く。自由になる。――15歳からの人生戦略』などの書籍執筆をはじめ、さまざまな媒体で本質的な教育改革の提言を続けている。

そんな工藤氏に、偏差値35から2浪して東京大学に合格し、『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』などの書籍執筆を続けながら、全国の中高生に勉強法を伝授するカルペ・ディエム社の代表を務める西岡壱誠氏が、教育の本質について聞いた。

子どもの主体性は幼少期の「教育」によって奪われる

西岡壱誠(以下、西岡):工藤先生は、「自律」という言葉をよく使われますね。子どもが自分で考え、自分で選択するということが教育の本質であり、理想であるというお考えに共感します。

【写真】日本の教育のあり方について、厳しく指摘する工藤勇一氏。

工藤勇一(以下、工藤):自律と言うと、規則に沿って厳しく自分を律するというイメージがあると思いますが、僕が言っているのは、人の力を借りながらでも、自分で考えて判断し、決定して行動すること。自分で自分をコントロールして歩いていけるような人間になろうよという意味です。

西岡:学校教育についてはどうお考えですか。

工藤:学校の存在意義は、2つあると考えています。1つは、子どもたちの可能性を引き出し、その子が幸せになれるような力を身につけさせること。

自律にとっていちばん大事なのは主体性です。教育関係者から、「主体性のない子どもの主体性を育てるにはどうすればいいのか」という質問を受けることがありますが、そこには大きな間違いがあります。

もともと人間は、生まれたときから主体的な生き物です。赤ちゃんは、放っておいてもハイハイし、歩き、やがて教えなくても言葉を覚えて話しはじめます。ところが、そこに大人のお節介が加わってしまうと、せっかくの主体性が次第に失われてしまうのです。

工藤:今に始まったことではありませんが、最近、幼児のうちから英語の早期教育、音楽の情操教育などに力を入れている親がよくみられます。「三つ子の魂百まで」と言われるように、脳科学的に見ても幼児における教育環境はとても大切ですが、子どもが与えられたすべての環境に対して良い反応をするとは限りません。中には反発する子どもだっています。

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