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東京海上日動が社長交代、33人抜きの抜擢人事 カルテル問題など逆風下で渡された重いバトン

東洋経済オンライン / 2023年12月22日 7時20分

33人抜きで社長に昇格することが決まった東京海上日動火災保険の城田宏明氏(写真中央、記者撮影)

東京海上ホールディングス(HD)の中核会社、東京海上日動火災保険は12月20日、執行役員営業企画部長の城田宏明氏が2024年4月1日付で社長に昇格し、広瀬伸一社長が代表権のない会長に就く人事を発表した。

【写真】東京海上は今年6月、保険料カルテル問題で金融庁から報告徴求命令を受けていることを公表した

今回のトップ交代には2つのサプライズがあった。

1つは抜擢人事だ。城田氏は1992年に東京海上に入社。リテール営業の経験が長く、広報部長などを歴任し、営業企画部長に就いたのは2021年。執行役員になったのは2022年4月。役員就任からわずか2年で、実に33人抜きの社長昇格となる。

城田氏は広報部長を務めた後、事実上、社長の登竜門となっている海外研修プログラムに参加している。そのため社長候補の1人ではあったものの、東京海上のこれまでのトップ人事の慣例や年次バランスを考えれば、「次の次」というのが周囲の一致した見方だった。

城田氏を抜擢した理由について、東京海上HDの小宮暁社長は経営環境が急速に変化する中で、「(経営)変革への実行力」と「年功序列の弊害の打破」をポイントとして挙げている。

HDと子会社のトップを同時交代させるリスク

2つ目のサプライズは、トップ人事のタイミングだ。東京海上はこれまで、HDと子会社の社長を6年周期で交代するのが慣例だった。広瀬氏が東京海上日動の社長に就いたのは2019年。そのため次のトップ交代は2025年と多くの関係者が予想していた。2024年での交代は、“任期満了”を1年早めたことになる。

判断の背景にあったのは、HDと子会社のトップを「同時交代させるリスク」(小宮氏)だ。小宮氏と広瀬氏は同じタイミングで、HDと子会社の社長に就いているが、就任当初から「グループ一体経営と改革の連続性を踏まえると、同時に社長が代わるというのは経営にとって大きなリスクだと感じていた」(小宮氏)。

広瀬氏も小宮氏と同じ考えを抱いており、2022年末からトップ交代を発表するシナリオを両者で話し合っていたという。交代時期は早い段階で決まったものの、後任の人選は簡単ではなかったはずだ。

なぜなら、今年6月に東京海上をはじめ大手損害保険会社による保険料カルテル問題が顕在化、翌7月にはビッグモーターによる保険金不正請求が社会問題化するという「非常事態」に陥ったからだ。

特にカルテル問題をめぐっては、今後、金融庁や公正取引委員会から行政処分を受けることが確実で、同時に経営責任の明確化が不可欠になる。

傷が浅いとみられる城田氏が急浮上

そういう状況の下、カルテル問題の責任を問われかねない人物を次期社長に任命することは難しい。城田氏は、リテール営業畑中心で2大不祥事においては無傷または傷が浅いとみられるため、急浮上した側面もあるようだ。

2大不祥事が損保業界全体を揺るがす中で、「重いバトン」(広瀬氏)を受け取ることになった城田氏。業務のDX化などを進め、社内だけでなくIT業界からも人望が厚い城田氏を中心に、東京海上は経営改革を進めることになる。

中村 正毅:東洋経済 記者

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