石川・のと鉄道七尾線、廃線区間の足は「空港バス」 穴水―輪島間、特急バスと空港連絡バスが主軸
東洋経済オンライン / 2023年12月28日 6時30分
ただ自動車専用道は路線バスには関係ない。輪島行きは時折、旧道へ入り集落の中のバス停に立ち寄ってゆく、どこにでも見られるパターン。こちらも駅があった市ノ瀬でも同様だ。
七尾線は能登市ノ瀬の次がもう4.4km先の終点、輪島だったが、路線バスはもちろん、こまめに停まっては利用客を拾う。市街地に入ると、市立輪島病院、輪島高校前も通り、こちらも駅といまだに名乗る輪島駅前に15時43分着。
国鉄~のと鉄道の輪島駅は、中心部から見れば町の入口に近い場所にあった。通り抜けて、海沿いのマリンタウンまで足を延ばす便も当然の設定と思うが、輪島マリンタウン行きは2本、輪島マリンタウン始発は1本のみと、意外に少ない。輪島市の人口は約2万2000人。主要産業は観光業や漁業だ。
旧駅跡をバスターミナルとして整備し、バスの窓口、案内所、待合室を兼ね備える「道の駅輪島 ふらっと訪夢」が出来上がったのだが、鉄道駅の場所が、果たして交通の拠点としてベストだったか。輪島市内の移動はコミュニティバス「のらんけバス」が受け持ち、北鉄奥能登バスとも接続。敷地の問題は駅跡なら解決しやすく接続もたやすいが、痛し痒しである。
長距離輸送を担う特急バス
輪島で1泊し、翌朝7時10分発の穴水行きで折り返したが、その前に金沢駅前行きの特急バスが6時55分に出発するので、様子を観察。早朝にもかかわらず6、7人が乗り込んだ。
この先は市ノ瀨、三井、穴水此の木などにも停車し、こちらも一部はのと里山空港を経由。石川県の行政機関同士を結びつける役割が見て取れる。穴水インターチェンジからは能越自動車道に入り、金沢駅西口バスターミナルに向かう。輪島市内の始発は輪島マリンタウン。金沢市内では中央病院や石川県庁などにも停車する。
金沢―輪島間の「輪島特急線」は、1979年に本格的な運転を開始した「奥能登特急バス」がルーツ。急行列車と遜色のない速度と料金で、次第に国鉄のシェアを奪ってゆく。当初は和倉温泉発着などの定期観光バスと連携し、観光客輸送を担う運転系統であったが、国鉄の値上げと自動車専用道の延伸に伴いビジネス需要も取り込み、長距離バスとして定着した。
金沢―輪島間は7往復
現在は7往復が、北鉄奥能登バスと北鉄金沢バスにより運行されている。6時55分発は9時15分に金沢駅に着くから、所要時間は2時間20分だ。
なお、いわゆる高速バスではなく一般路線バスなので、各バス停相互間で乗車が可能だが、穴水駅前には寄らない。そちらは金沢―珠洲、宇出津方面の特急バスが受け持つ。七尾線廃止区間の代替よりも、鉄道との競争に打ち勝ち、40年以上の歴史を保ってきたバス路線と見るべきだ。
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