読書好きの徳川家康が熱心に読んだ「ある1冊」 侍医の板坂卜斎は家康を学問好きと評した
東洋経済オンライン / 2023年12月30日 12時20分
今年の大河ドラマ『どうする家康』は、徳川家康が主人公。主役を松本潤さんが務めた。今回は徳川家康が愛読したある本について解説する。
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徳川家康は学問好きであった。家康の侍医を務めた板坂卜斎(いたさか ぼくさい)は、家康の学問について「家康公は書籍を好まれた。僧侶や学者とも常々話された。学問を好まれた。詩作・歌・連歌はお嫌いであったが、論語・中庸・史記・漢書・六韜・三略・貞観政要、和本は延喜式・東鑑を愛読していた。漢の高祖(劉邦)の度量の大きいことを褒められ、唐の太宗や魏徴を褒められ、張良・韓信・太公望・文王・武王・周公、日本では源頼朝の話を常々された」と記している。
【写真】家康が愛読したある一冊と関連する地、唐王朝の都、長安(現・西安市)の街並み
源頼朝を尊敬していた家康
源頼朝の話をよくしていたというのは、武家政治の創始者としての頼朝を家康が尊敬していたからだろう。鎌倉幕府の準公式記録ともいうべき『吾妻鏡』をよく読んでいたのも、頼朝から学ぼうという姿勢の表れかもしれない。
また卜斎の話からは、中国の古典をよく読んでいたことがわかる。家康が好んだ中国の古典として挙げられている『貞観政要』は、現代においても、経済人や学者が絶賛する書物である。
では『貞観政要』とはどのような書物なのか。「貞観」とは、中国の唐の時代(618〜907)の元号だ。「政要」というのは、政治の要諦(物事の最も大切な点)という意味だ。
貞観の世を統治したのが、唐王朝の2代皇帝・太宗(李世民)である。『貞観政要』は、この太宗(598〜649)と側近たちの言行録だ。
敵対勢力の征伐や、骨肉の争いという修羅場をくぐり抜けた武将であった太宗。 皇帝の座についた翌年(627年)に、貞観と改元した。太宗の治世は23年続く「貞観の治」と呼ばれ、平和で安定した時代として、後世から讃えられている。
忠告してくれる人の大切さを説いた太宗
『貞観政要』には例えば、次のような問答が記されている。
貞観年間(627〜649)の初め頃、太宗は側近に対し、次のように言った。
「君主の道というものは、必ずまずは民衆を思いやらなければいけない。もし、民衆に負担をかけて、君主に奉仕させようとするのならば、それは自らの股の肉を裂き、自分で食べるようなものだ。お腹がふくれても、死んでしまうだろう。
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