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アメリカで人気沸騰「かにかま」投資合戦の舞台裏 健康志向で市場拡大、日本の水産大手に商機

東洋経済オンライン / 2023年12月31日 14時0分

水産大手のマルハニチロと極洋は、アメリカのかにかま工場に投資して攻勢をかける(写真上:マルハニチロ、下:記者撮影)

お正月のお節料理に欠かせない「かまぼこ」。その中で、カニのような見た目と風味が楽しめる「かに風味かまぼこ(かにかま)」の快進撃が続いている。

【絶好調のアメリカ市場】かにかま需要は右肩上がりで伸びている

風味かまぼこの国内市場は、2011年に7万1650トンだった販売量が2021年には8万0350トンへ約12.1%伸びた(富士経済調べ)。一方、同期間におけるアメリカのかにかま消費量は、8万9221トンから12万2469トンへと37.2%も急拡大している(マルハニチロ推計)。

諸説あるものの水産練り物会社スギヨ(石川県七尾市)が起源とされる。日本発祥のかにかまが、国内にとどまらず世界で市場を拡大している。

健康志向で市場は伸び盛り

背景には、欧米を中心とした「健康食志向」が挙げられる。スケソウダラなどの魚のすり身を原料とし、タンパク質含有量が豊富で低カロリー。サラダなどにも合わせやすく、料理に取り入れやすいのが魅力だ。和食文化の広がりも追い風で、酢飯やマヨネーズなどを使用した巻きずし「カリフォルニアロール」の具材などに利用されている。

水産大手の極洋も「魚の生臭さに抵抗がある欧米の方でも、かにかまなら食べやすいのではないか。(安価で高タンパクな)鶏肉とも値段や栄養面で張り合える」(菱沼利光・海外事業部海外事業第一課長)と分析する。

とくに日本の水産大手が有望視するのがアメリカだ。現地で「SURIMI」という名で普及しており、「ウォルマートなどを筆頭に、かにかまを置いていない量販店はないというぐらい一般的な食材」(キョクヨーアメリカ代表・加藤穣氏)という。

各社がアメリカに熱視線を注ぐのは、ビジネスのやりやすさもある。

最大市場とされる欧州の消費量は20万トンを超えるとみられるが、攻略するうえで課題が多い。一正蒲鉾の小森道夫ESG推進部部長は「欧州ではビチュナイというリトアニア発の企業がシェアを握っており、新規参入が難しい状況」と語る。加えて、EUは輸入食品に対するハサップ(事業者がとるべき衛生管理手法)などの規制も厳しいという。

「仮にEU版のハサップを取得できたとしても、ビチュナイにやられてしまうだけ。苦労してまで負け戦をするつもりはない」(水産大手幹部)。この点で、「アメリカにはトライデント社やアクアマー社といった大手プレーヤーがいるものの、まだ参入の余地はある。規制もEUに比べると緩い」という背景がある。

マルハは大型投資、極洋は新会社設立

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