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ホテル襲う「トコジラミ」の恐怖、駆除に10万円も インバウンド復活で頭を抱えるホテル関係者

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 7時30分

トコジラミは、宿泊客のカバンや衣服などについてきてホテルの客室に住み着く(写真はイメージ、structuresxx/PIXTA)

インバウンド(訪日外国人客)の復活により、回復が続くホテル業界。だが新たに頭の痛い問題が生じ始めている。トコジラミの脅威が日本のホテルにも押し寄せているのだ。

【写真】トコジラミの体長は5~8㎜ほど

都心部でチェーン展開をするホテルは、「つい先日うちにも初めてトコジラミの被害が出ました」と打ち明ける。

大手ホテル「毎月1~2件被害が発生」

トコジラミは宿泊客のカバンや衣服などについてきて、客室に住み着いてしまうため、ホテルにとっては防ぐことが非常に難しい。「防ぎようがない。守る方法があれば教えてほしい」と嘆く。大手ホテルからも「毎月1〜2件、トコジラミ被害が発生している」といった声が聞こえてくる。

トコジラミは「ナンキンムシ」とも呼ばれることもある。シラミではなくカメムシの仲間で刺激を与えると悪臭を出す。人を好んで吸血し、刺されると個人差はあるものの、激しいかゆみや発熱を引き起こす。

かつては都市部でよく見られた害虫だったが殺虫剤の普及などにより、その被害は激減していた。だが近年、インバウンドが再び増加したことなどが原因となり、トコジラミの被害が増えつつある。

ホテルがトコジラミに頭を悩ませるには訳がある。経営に及ぼす影響が甚大なのだ。トコジラミの被害が出た客室はもちろん、場合によってはその周辺の客室も数日〜1週間程度販売を停止しなければならない。

害虫被害がトコジラミによるものか特定する必要があるほか、駆除業者に依頼する必要がある。また薬剤成分などを噴霧すると、においが客室に残ってしまうこともあるそうだ。この間ホテルは客室を売りたいのに売れない機会損失が発生する。

駆除業者へ支払う料金も高額だ。1回の駆除あたり10万円程度かかる。というのもトコジラミの駆除は非常に困難。トコジラミが定着したベッドやソファなどの家具は高熱処理で駆除をする必要があり、場合によっては家具の処分をしなくてはならない。

また、ホテルとして悩みどころなのが、被害に遭った宿泊者への対応だ。インバウンドが急増しており都心部のホテルの稼働率は急上昇している。繁忙期だと代わりに案内できる客室がない可能性があるという。

9割が殺虫剤で駆除できないスーパートコジラミ

東京都のデータによれば2022年度に東京都に寄せられたトコジラミの相談件数は405件(2021年度は281件)と、直近10年で2番目の多さになっている。

「日本に存在しているトコジラミの9割が抵抗性を持っているといわれている」とアース製薬ブランドマネージャーの原田惠理氏は指摘する。同氏はこれまでトコジラミの研究をしてきた。既存の殺虫成分に対して耐性を持っているため、殺虫剤による駆除が難しい。

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