定番のオレンジジュースで「休売」が相次ぐ理由 果汁不足と円安直撃、再開メド立たない商品も
東洋経済オンライン / 2024年1月3日 7時50分
朝食の定番、オレンジジュースが手に入りにくくなっている。
キリンビバレッジは、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 オレンジ」(900ミリリットル)を2023年6月から2カ月間休売した。アサヒ飲料も同年12月から「バヤリース オレンジ」(1500ミリリットル)の販売を休止し、再開は2024年春頃を予定している。
販売再開の見通しがついていない商品もある。雪印メグミルクが販売する「ドール」の一部のオレンジジュース商品(450、1000ミリリットル)は、2023年4月から休売が続く。同社の市乳事業部飲料グループで果汁飲料を担当する平谷誠氏は、「本来、販売休止は1年続くようなものではないが、当面は再開のメドが立たない」と話す。
オレンジ果汁の調達難が続く
異例の事態を引き起こしているのは、オレンジ果汁不足と円安だ。
日本はオレンジ果汁輸入量全体のうち、約6割をブラジルに依存する(2022年)。近年、ブラジルで起きた天候不順などにより、オレンジ果汁の輸入量は減少傾向にある。2018年に約7.9万キロリットルだった輸入量は、2021年に約3.4万キロリットル、2022年に約4.4万キロリットルに減少した。
こうして飲料メーカーのオレンジ果汁在庫が徐々に圧迫されていた中、2023年に起きた大規模な不作が致命傷となった。
ブラジルの産地では、2023年の初めに洪水が発生し、病害もまん延した。またアメリカの産地でも、大型ハリケーンの発生で生産が激減。オレンジ果汁は世界中で争奪戦となり、取引価格が高騰している。
そこに円安が追い打ちをかけた。2023年1月から9月のオレンジ果汁平均輸入単価は1リットル当たり462円と、前年同期比で49%上昇した。過去5年の平均輸入単価292円と比べると、5割以上も上回っている。
世界の人口増や新興国の経済発展などによりオレンジ果汁需要は拡大する一方、供給は追いついておらず、円安の影響で日本が買い負けている状況もある。
そんな中でも2023年の年間のオレンジ果汁輸入量は、5万キロリットル弱と前年より増える見込み。ただ、2021年と2022年の輸入量が極めて少なかったこともあり、一般社団法人日本果汁協会は「オレンジ果汁不足を補える十分な輸入量とはいえない」(「果汁協会報」)と説明する。そのため、2023年についに飲料各社の在庫が底をつき始め、販売休止が続出したとみられる。
オレンジジュースだけ値上げするメーカーも
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
オレンジ高騰の余波、「セブンプレミアム」にも 4月から「オレンジとみかん」混合でリニューアル、果汁100%に「こだわり」
J-CASTニュース / 2024年5月3日 14時0分
-
「オレンジジュース」が高級品に? 記録的な不作が影響…販売休止相次ぐ、国産みかん活用の動きも【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月2日 20時44分
-
オレンジジュースが“高級品”に!?販売休止相次ぐ 国産みかんに注目も【ひるおび】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月2日 15時21分
-
オレンジ不足でジュース“販売休止”も…「国産みかん」に注目が ブラジルやアメリカの天候不順で不作・高騰
日テレNEWS NNN / 2024年5月1日 6時22分
-
トロピカーナ出荷停止 江崎グリコのシステム障害
共同通信 / 2024年4月23日 20時23分
ランキング
-
1日銀がこれほどまで円安を「無視」する3つの理由 「為替は管轄外」では、結局うまくいかない?
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 9時30分
-
224年度の企業倒産、1万件超か 原材料高、人手不足が収支圧迫
共同通信 / 2024年5月4日 15時30分
-
3相鉄線「屈指の閑散駅」ついに一新へ! 大幅イメチェン&新改札も 完成時期は?
乗りものニュース / 2024年5月4日 8時42分
-
4箱根にフロントもない「無人ホテル」開業 〝不便さ〟感じる? 記者が体験してみた
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月4日 18時38分
-
5過度な動き「ならす必要も」=円安、介入コメントせず―鈴木財務相
時事通信 / 2024年5月3日 23時51分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください