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スタバ「フラペチーノを発明してない」意外な過去 コーヒーにこだわる地域の店が変貌を遂げるまで

東洋経済オンライン / 2024年1月6日 12時10分

この時期にポップ・アーティストとして有名なアンディ・ウォーホルが、有名な「キャンベルスープ缶」の絵を描いているが、それはある意味では食品が工業製品のように作られていくという時代を的確に表現したものであった。

人々が自由に好きなものを選択し、食べることのできる社会は望ましいものだが、一方では工業製品のように食が作られることに対する疑念も生まれていた。

1960年代末、都市での生活を否定して自然へと回帰することを訴えた西海岸のヒッピームーブメントなどと連動して、食のあり方を問い直す考え方が西海岸を中心に広まりつつあった。

例えば、そのような思想から生まれたのが「スローフード」であったり、オーガニック志向といった食に対する考え方であった。

西海岸の思想の中心地でもあったカリフォルニアから、スタバのあったシアトルは距離が離れてはいたものの、そうした同時代的な食に対する思想と連動するものがあった。その中でスタバの創業者3人はコーヒーの品質に徹底的にこだわった、地元密着型の店を作ろうとしたわけである。

この頃のスタバを語る証言の中でよく登場するのが「本物のコーヒー」という言葉である。彼らが自身の店で出すコーヒーをどのように捉えていたのかがよくわかるだろう。

スタバの経営理念は現在でも続いている

さて、こうしてスタバの最初期の姿を見ていくと、それは現在われわれがイメージするスタバの姿と大きく異なることに驚かされる。

初期のスタバは、シアトルという土地に根差しながら、コーヒーの品質に徹底的にこだわるローカルなコーヒー焙煎店だった。そして、この時点でスタバはグローバルチェーンとしての姿をまったく持っていなかった。もちろん、フラペチーノも提供していない。

つまり、前回私が指摘したような「矛盾」を持っていなかったのである。ローカルに根差し、シアトルに数店舗を構える個人主義のコーヒー店。もちろん、フラペチーノも提供されていない。そこにはなんの矛盾もない。

そもそも、フラペチーノは1994年にスターバックス社がコーヒーショップ・チェーン「コーヒー・コネクション(Coffee Connection)」を買収したことから提供されるようになったビバレッジだ。買収の際に、コーヒー・コネクションがソフトクリームマシンで作っていた、冷たいコーヒー飲料「フラペチーノ」の権利も、同社から手に入れたのだ(公式サイトによる)。なので、もともと発明したのも、スタバではない(当然、今はスタバが開発しているが)。

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