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学校心理士の元校長が語る「不登校」の全体像 読み書き障害・ギフテッドなどケースは多様

東洋経済オンライン / 2024年1月6日 13時30分

ですが、9歳の壁といわれる3、4年生の頃から自我も出てきて、ささいなことでイラついて友達とけんかになる、家では暴れる、荒れる、といった状況が続きました。お母さんが「うちの子、どうしちゃったんだろう」と相談される中で、いろいろ調べるとI Qが140ぐらいあり「ギフテッドかもしれない」とわかったんです。

当然、学校の授業はつまらなくて、苦痛なわけです。印象的だったのはその子が「先生は助詞の使い方がおかしい」と言っていたことです。多分、聴覚優位でもあったんでしょうね。そこで「学校に来ても無理に授業に参加しなくていい」とすると、よく校長室で過ごしていました。

日本の不登校支援は少ないのか?

――ギフテッドの子の対応はどうしたらいいでしょうか。

私は約20年ほど前に、アメリカのフィラデルフィアで補習授業校の校長を務めていました。娘はアメリカの現地校に通っていたのですが、私に「すごいんだよ、トムは算数ができるから算数の時間は中学校に行くんだよ」と話していたのを覚えています。

海外では飛び級制度を科目や学年単位で採用しているところは多いんですね。一方で日本は、一部の大学や大学院しか飛び級制度はないと思います。

そもそも日本の学校教育はIQ100ぐらいの中間層に向けて授業の内容や進め方の速度が構成されています。その層よりIQが低い子たちは「特別支援学級」や「特別支援学校」など学びの場が用意されているのですが、IQが高いギフテッドの子たちに対しての支援はほとんどありません。

算数など個人差が出やすい教科を中心に到達度別の授業を行っている学校はありますが、あくまで全員が一定のレベルに到達することを目的としていて、ギフテッドの子のためのメニューではありません。そこは課題でしょう。

――日本にはそもそも不登校支援は少ない?

いえ、そうとも言い切れません。政府が教育基本法に基づいて教育に関する施策をまとめた「教育振興基本計画」というものがあります。

これは5年ごとに見直して「何を目標とするのか」「どこに力を入れていくのか」を計画していますが、直近の第4期の「教育振興基本計画」を見ると、明確に基本施策の中に「不登校児童生徒への支援の推進」「特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援」という文言が盛り込まれました。

つまり、きちんと予算を取って国としても支援していきますよ、ということです。

不登校児童生徒の受け入れ先として不登校特例校の設置も増やす計画です。不登校特例校はまだ全国に24校(文部科学省、2023年調査)しかありませんが、今後300校を目指す、という話もあります。自治体レベルだと独自の不登校支援をやっているところも多いです。

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