続々と出店中､オタク女性が集う謎のジムの正体 オタク女性のボディメイク願望に寄り添う

推しのお渡し会（出演者から直接手渡しでプレゼントが渡され、会話ができるイベント）が迫ると、トレーナーが「大丈夫！　自信を持って。すごいがんばっているんだから」と背中を押す。

「自分で全部頑張らなきゃいけない。それを解消したい」

SAKU代表の思いが通底しているからこそ、取材中、トレーナーと会員の笑い声が絶えず聞こえてくる。

2022年度のオタク市場の規模は、矢野経済研究所によれば約7164億円だという。クララが拓いた、オタク市場におけるウェルビーイング分野は、「今後さらに成長していくと思う」とSAKU代表は語る。

「2022年9月に、人気スマホゲーム『あんさんぶるスターズ！』は、『あんさんぶるトレーニング!!』というトレーニングアプリの配信を開始しています。また、男性VTuberグループ『ホロスターズ』さんも、トレーニングボイスを手掛けており、ありがたくもクララで監修をさせていただきました。オタクを健康にするという動きは、ものすごく増えてきている印象です」

クララでも、イケボに励まされたり、叱責されたりしながら体を鍛える、人気男性声優との特別コラボ「イケボトレーニング」が、大きな反響を巻き起こしたという。オタク業界×健康は、新たなビジネスの鉱脈になる可能性を秘めている。

どうせ鍛えるなら楽しく

「世界中のオタクを健康にしたい」、そうSAKU代表は力強く言い切る。

「私は、もともとファンコミュニティのようなサービスを作りたいと思っていました。ですから、クララで出会った会員さん同士が何か一緒にできるようなコミュニティを作りたいとも考えています。私たちは、会員さんが遠征時にも通えるように、5店舗すべて通えるにしています。大阪に行ったら、心斎橋のクララに通えるんですね。交流が生まれて、みんなが楽しく通えるようなジムにしたいんです」

身体的なケアだけではなくて、精神的なケアもカバーする。どうせ鍛えるなら楽しくやりたい。人気を呼ぶのも納得だろう。

我妻 弘崇：フリーライター