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健康ブームでも「野菜ジュース」が売れないナゼ 復活のカギは「わかりやすさ」と意識変容

東洋経済オンライン / 2024年1月7日 8時0分

カゴメが販売する野菜飲料。市場は縮小中だが、機能性表示の「野菜一日これ一本」やトマトジュースの販売は好調だ(撮影:尾形文繁)

野菜飲料の売れ行きが低迷している。

【グラフ】乳酸菌飲料が野菜飲料に肉薄

2018年に約2000億円だった野菜飲料の市場規模は、2023年に約1700億円まで落ち込む見込みだ(カゴメ調べ)。

実際、大手メーカーは野菜飲料の販売に苦戦する。

野菜飲料トップのカゴメ。2023年度の飲料カテゴリーの売り上げは、第3四半期時点で前期同期比2%減となった。中でも不調なのが、主力商品である「野菜生活100」。同シリーズの売り上げは2022年度に同4%減、2023年度上半期は同6%減とマイナス基調が続く。

野菜飲料大手の伊藤園では、野菜飲料の販売数量は2022年度に同12%減、2023年度の上半期は同10%減と2桁のマイナスだった。

野菜飲料の原料や資材価格の高騰を受け、伊藤園は2022年7月に、カゴメは2023年2月にそれぞれ値上げを実施した。これが販売数量の減少に影響しているのは間違いない。ただ、5年で300億円の市場規模の縮小は、値上げだけでは説明が難しい。

競合に乳酸菌飲料などの健康飲料

食品や飲料に対する消費者の健康ニーズは強い。にもかかわらず、野菜飲料の不調が続くのはなぜか。

伊藤園の本庄大介社長は、その要因について「乳酸菌飲料などに需要が移っている」と説明する。現に、乳酸菌飲料市場は近年急拡大しており、野菜飲料に肉薄している。

これまで野菜飲料は、「なんとなく健康に良さそう」という理由で選ばれてきた面がある。一方、乳酸菌飲料には「免疫ケア」や「睡眠の質向上」「ストレスの緩和」など、消費者の目的や悩みに対して特定の機能をうたう機能性表示食品が多い。細分化された「わかりやすい」機能性が表示されている乳酸菌飲料に、野菜飲料の需要が奪われている現状がある。

カゴメのマーケティング本部で飲料企画部長を務める西村晋介氏は、乳酸菌飲料やタンパク飲料などの台頭で健康飲料に求められる価値が多様化し、「相対的に野菜飲料の印象が薄れてしまっている」と語る。

「わかりやすい野菜ジュース」は売れている

こうした状況に、メーカーはどう対処していくのか。

戦略の1つは、野菜飲料も「わかりやすく」することだ。

野菜飲料においても、機能性の表示が進んでいる。伊藤園が販売する「栄養強化型 1日分の野菜」。商品1本に1日に必要な野菜量350g分を使用しているだけでなく、食後の「中性脂肪」「血糖値」の上昇を抑え、高めの「血圧」を下げるという3つの機能性をうたう機能性表示食品だ。ダウントレンドが続く同社の野菜飲料の中で、機能性表示食品の売り上げは2023年度上半期で前年同期比18.6%増と大きく伸長した。

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