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「宇宙船」大阪メトロ400系、普段見せない空飛ぶ姿 中央線の新型車両、急ピッチで進む搬入作業

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 6時30分

調整中の車両を改めて観察する。400系最大の特徴である独特の前面は、「普段中央線をご利用いただいているお客様だけでなく、観光で訪れた全国の皆様、さらには万博で大阪を訪れる海外の方々にもインパクトを感じていただけるデザインとしました」と、同社車両部車両設計課係長の西野英樹さんは語る。

400系は大阪市交通局から民営化された大阪メトロが初めて開発した車両であり、そのデザインは当時チーフデザインオフィサー(CDO)を務めていた奥山清行氏が手掛けた。

「大阪市交通局時代の車両開発は、安全性やお客様の快適性、メンテナンス性を重視しており、デザイン性はどちらかといえば後回しでした。400系はデザイナーが入ったことで、設計の流れが大きく変わりました」(西野さん)

その変化は随所に表れているという。たとえば、前面のヘッドライトやテールライト。400系ではデザイン性が重視され、交換や光軸調整は車内側から行う形となった。メンテナンス時にはその手前にある機器を取り外す必要があるため、これまでなら採用されなかったであろう構造だが、デザインとメンテナンスの両面から、ぎりぎりのラインを探ったそうだ。

同じ400系でも違いがある

車内をのぞくと、乗務員室と客室を仕切る扉が、既に運用を開始している編成とは違うことに気付いた。「当初の車両はガラス部分が上半分のみでしたが、第8編成以降は足元近くまで拡大されています」(西野さん)。

実はこの扉、デザインの検討段階では全体がガラスだったものの、構造的な問題などからガラス部分を上半分のみに変更。だが、完成した車両を見たデザイナーから「多くの方が前面展望を楽しめるよう、やはりガラスをもっと大きくしてほしい」という意見が出たため、再度変更したという。

既存編成の扉も順次交換するそうだが、これも交通局時代にはありえなかっただろう。

400系の車内設備で特徴的なのが、4号車に設けられたクロスシートだ。地下鉄車両での採用は極めて珍しいが、「万博会場へ向かうというワクワク感を演出したかった」とのこと。中央線は地上区間も多く、都会の景色はもちろん直通運転を行う近鉄の区間では緑が豊かな景色も楽しめることから、クロスシートはうってつけと言える。

「地下鉄は短距離利用のお客様が多く、2人掛けの座席だと窓側の乗り降りがしにくいことから、1人掛けの座席としました。また、座席の向きを変えられる転換クロスシートの採用も検討しましたが、そうすると扉間に設置できる座席数が3席から2席に減ってしまうため固定式としています」(西野さん)

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