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弱った心臓そのものを元気にする「心臓リハビリ」 「いきいきウォーキング」で死亡率を下げる

東洋経済オンライン / 2024年1月13日 17時0分

心臓リハビリにおいて、歩くことに勝る有酸素運動は存在しません(写真:プラナ/PIXTA)

寒い時期には、心臓に大きな負担がかかるといわれています。周囲の温度差によって血圧が急激に変動して、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクが高まるというものです。

適度な運動や充分な睡眠を心がけることが、心臓病の予防につながることはよく知られていますが、「弱った心臓そのものを元気にするメソッドがある」と言うのは、東北大学名誉教授で医師の上月正博氏。上月氏の著書『弱った心臓を元気にする方法』より、長生きに有効な心臓リハビリメソッドを一部抜粋・再構成してお届けします。

世界基準の医療技術評価で“最高ランク”の信頼

かつて、心臓病といえば「安静第一」が原則でした。心筋梗塞になって内科・外科治療を受けたら安静にしている――これが定説だったのです。ところが、その後の研究によって、この理論は完全に否定されました。心臓病になってじっと安静にしていると、身体の回復やその後の良好な健康維持を妨げてしまうことが判明したのです。むしろ、入院中から適切な負荷をかけた運動を行うことで、身体の回復や予後もよくなり、病気の再発も防ぐことができる。これが今の医学界では揺るぎない事実として推奨されています。

【画像】こんな歩き方がおすすめ! 毎日30分、あるいは1週間の合計で150〜180分以上の有酸素運動を、「中強度」で行うことが必要です

1994年、東北大学病院に全国初の「内部障害リハビリテーション科」が設けられました。そこで内部障害リハビリのひとつとして生まれたプログラムを応用したものが、心臓病からの回復、そして再発防止を目的とした心臓リハビリの運動療法です。ここで「心臓リハビリが効果的だ」という具体的なエビデンスをすべて紹介すると、一冊の本では書ききれなくなってしまうので、代表的なものをいくつかピックアップしましょう。

まず、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の患者さんが心臓リハビリを行うと、行わなかった場合に比べて、その後の心血管病による死亡率は26%低下し、再び入院するリスクが18%低下することがわかっています。そして、あらゆる入院が25%減少し、心不全による入院が39%減少することも証明されています。心臓リハビリを行うことで血管が広がり、体の隅々まで血液が行き届くようになります。血の巡りがスムーズになるので、結果として心臓の負担が軽くなり、失われた活力が戻ってくるのです。

また、医療界では、すべての病気において「どのような治療(医療技術)を行うのがいいか」を、4つの視点からランクづけしています。4つの視点とは「推奨クラス分類」「エビデンスレベル」「Minds推奨グレード」「Mindsエビデンス分類」というものです。それぞれ3〜7段階の指標があり、このうち「I」および「A」が最高ランクに位置づけられています。

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