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1浪で東大理Ⅲ「開成で数学1位」から見たどん底 東大理Ⅲに合格した彼が得た大きな気づき

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 7時40分

「1つのことだけを考えて深く打ち込める時間は、人生においてあまりありません。ですが、僕は受験勉強のことだけを考えて極められる浪人という期間を与えてもらったおかげで、複数の仕事をこなすよりも、1つのことを深くやるほうが効率がよくなるということがわかりました。

その試行錯誤ができたのも、野球で身につけた体力がベースになっているからだと思います。1日10時間勉強しても、野球に比べたら楽でした。僕は勉強の負荷に自分の体力が勝っている状態だったから、ずっと学び続けることができたのだと思います」

失敗しても大したことは起きない

また、浪人を通して得たものに、「精神的な余裕」をあげてくださったのが印象的でした。

「きれいなレールに乗り続けていると、自分はいつ、どこで脱線するんだろうと不安に思います。でも、早めに脱線したことで、失敗しても大したことは起きないし、人生そんなに変わらないなと思えるようになりました。浪人のときに身につけた余裕や自己管理能力は、今でも仕事に使えているので、経験しておいてよかったと思います」

東京大学理科Ⅲ類を卒業してからのシーナさんは、現在、医師をやりつつ、YouTubeチャンネル「ガチでノビる受験数学 東大医学部の解説動画」を運営し、受験生に向けて講義や勉強法の解説動画を出しています。2023年には共著者として『東大数学の発想と検討: 過去問6年の解法・答案アプローチ』も執筆しました。

YouTube活動を続けることができているのも、浪人時代にチャレンジした経験が大きいと語ります。

「もともと大学在学中に家庭教師や塾のチューターをしていたのですが、わかりやすいと言っていただいて人の役に立てているのが嬉しかったですね。だから、医師になってからも人に数学を教えたいと思っていたのですが、仕事をやめて予備校講師になるという選択肢はさすがにリスクが大きいと考えていました。そう考えていたら、2020年にコロナ禍に入ったので、YouTubeで数学の動画を出してみようと思えたんです。

この決断ができたのも、浪人のときに、受験というチャレンジに本気で向き合えた経験が大きかったと思います。

ネットが強い今の時代は方法論よりも、行動量が大事で、その行動量を担保するのは自己管理だと思っています。どうやったら調子よく努力し続けることができるのか、浪人時代に養うことができたので、それをYouTubeを通じて伝えていければいいなと思っています」

自分自身を俯瞰して見られるように

挫折を経て「日本のトップ100」に入った天才の、試行錯誤しながら努力し続ける姿勢と、つねに自身を俯瞰で見るバランス感覚は、紛れもなく浪人生活がもたらした能力なのだと思いました。

シーナさんの浪人生活の教訓:失敗を経験したことで生まれる精神的な余裕が、のちの人生の努力量・行動量を増やしてくれる

濱井 正吾:教育系ライター

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