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少子化対策しても「家族消滅」に向かう日本の現実 やがて日本は「超高齢独身国家」となる運命

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 11時0分

それぞれの世帯別に、世帯主が65歳以上の高齢者の場合の推移を見ていきましょう。比率は総世帯に対する比率です。

夫婦のみ世帯と単身世帯の高齢世帯率は2020年は双方とも12%と一緒で、世帯数にすると約670万世帯です。これを各世帯単位内での構成比にすると、高齢者比率は夫婦と子世帯の場合は21%、単身世帯は32%、夫婦のみ世帯は60%となります。つまり、夫婦のみ世帯とは6割が高齢夫婦の世帯ということになります。

そして、それら増加している高齢夫婦のみ世帯は、やがて離婚せずとも夫婦のうちのいずれかが死亡することによって必ず一人に戻ります。一人に戻れば、それはすなわち単身世帯へカウント移行することになるので、増えつつある高齢夫婦のみ世帯はそのまま将来の単身世帯増加に直結します。単身世帯比率は増えることはあっても減ることはないのです。

結婚して子をもうけて家族を形成しても、やがて子が独立したのちは夫婦のみ世帯になり、必ず最後は単身世帯になるという道筋を経るわけです。つまり、新たな婚姻が発生しない限り、新たな家族は生まれず、やがて家族は消滅していくことになります。

単身世帯以外にも独身者は存在します。家族と同居する独身者です。前掲したグラフの通り、65歳以上が世帯主の夫婦と子世帯比率が1985年の2%から2020年5%へと増えています。実数にすれば、1985年60万世帯から2020年296万世帯へと約5倍増になっています。

要するに、高齢の親の元に独身のまま同居し続ける子(子といっても中年以上ですが)が増えていることになります。一部では「子ども部屋おじさん」「子ども部屋おばさん」などという揶揄言葉も使われていますが、私は「親元未婚」と呼んでいます。これも未婚化の結果です。

「超独身国家」になった日本

こうした事態を「子の自立心が足りない」などと価値観の問題にすり替える論者がいますが、決してそうではありません。そもそも未婚者のうち親と同居する親元未婚率は以前と変わらず、実数としての親元未婚者が増えているのはそもそも未婚者の数が増えているだけにすぎないからです。

昭和の時代でさえ、進学や就職などで故郷を離れる以外は、結婚するまでは親元に住むのが一般的でした。逆にいえば、結婚でもしない限り、親元から離れる合理的な理由は今も昔もないわけです。

問題は、一見夫婦と子世帯という家族形態の数をキープしているように見えても、その内実は、高齢親と中年子という「未婚化の結果としての成れの果て家族」が増えているということでもあります。

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