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少子化対策しても「家族消滅」に向かう日本の現実 やがて日本は「超高齢独身国家」となる運命

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 11時0分

ご存じの通り、日本は今や世界一の超高齢国家となっています。2020年時点の国勢調査における15歳以上人口約1.1億人に対し、65歳以上の高齢人口は約3600万人です。しかし、実は未婚と離別死別をあわせた独身人口は約4930万人と大幅に高齢人口を上回っています。超高齢国家という以上に、日本は超独身国家でもあるのです。

この独身人口も長く続く少子化で、30代までの若い未婚者より40歳以上の中高年独身者人口の急増がすさまじく、前述した通り、高齢の有配偶者もやがて半分は高齢独身者へと移行するため、間違いなくやがて日本は「超高齢独身国家」となります。そして、それは日本に限らず、他の先進諸国も同様の運命を辿ります。

少子化対策をしても出生の絶対数は増えない

ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは、従来の伝統的な共同体であった家族は、「すでに死んでいるが、依然として形だけは生き残っているゾンビカテゴリー(死に体カテゴリー)」になったと厳しい指摘をしています。あわせて彼は、「資本主義社会での心のよりどころだった家族は、社会の個人化によってリスクの場に変わりつつある」と述べています。

これは、私が「結婚が生産から消費に変わった」と言っているものと同義です。かつて結婚や家族を持つことは、生きていくための必要な要素でした。出産も農業社会では労働力の生産でもありました。しかし、工業化・都市化によって生まれた核家族を主とする近代家族は、子育てそのものが大きなコストとなり、ある程度経済的な余裕がなければ「買うことのできない贅沢品」と化しています。だからこそ、多くの若者が「結婚なんて無理」と諦観してしまうのです。

残念ながら、どんな少子化対策をしても出生の絶対数は増えません。婚姻減も出生減もそもそもその対象年齢人口の減少が前提としてある以上不可避なものです。高齢独身人口が増えることもまた、現在の人口構造から見れば必然の未来です。

しかし、それは、20世紀に入ってから異常に膨らんだ人口増加の是正期間に入ったとみるべきで、日本はすでに年間150万人以上の死亡者が出る「多死時代」に突入しています。しかも、それが少なくとも今後最低50年以上続く見込みです(参照:『日本だけでない「世界的な人口減少」は不可避だ』)。それは、ある意味では、今の歪な逆三角形型の人口ピラミッドが長方形型に補正されていくということでもありますが、その過渡期において必ずこの「高齢ソロ社会」をしのいでいかないといけない課題に直面します。

むしろ、今考えるべきことは、できもしない少子化対策をさもできるかのように取り繕うことではなく、悲観的な未来をことさら協調して煽ることでもなく、確実にやってくる人口構造と世帯構造の変化を直視したうえで、現役世代が高齢者を支えるという従来のモデルから脱却し、現役も高齢者も未婚も既婚も大人たちが圧倒的に少ない若者たちの未来を支える21世紀型モデルを検討することです。

家族が消滅するのだとしたら、それは大人たちが若者たちを絶望させた結果でしょう。

荒川 和久:独身研究家、コラムニスト

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