急騰している日本株が今後暴落しないか心配だ 楽観しすぎの米国株、日本経済も黄信号が点灯
東洋経済オンライン / 2024年1月15日 9時30分
前回のコラム「2024年前半は世界的株安と円高がやってきそうだ」(2023年12月18日配信)では、主としてアメリカ経済について解説した。
そこでは「2023年に到来すると筆者が見込んでいた景気後退がなぜ起こらなかったのか」「それでも2024年こそアメリカが景気悪化に見舞われると予想するのはなぜか」について、同国の個人消費を中心に述べた。
景気の堅調と金利の大幅な低下は両立しない
こうした景気後退見通しが的中するかは今後を待ちたいが、それを横に置いても、いまだにアメリカの株式市場は極端な楽観にとらわれている。
その楽観の主軸は「アメリカの景気や企業業績は減速しながらも悪くはない。だが減速することには変わりがないので、これから金利はどんどん下がる」といった、いいところ取りのシナリオだ。
景気の堅調さと金利の大幅な低下は両立しない。筆者は「金利は大きく下がるだろうが、それを凌駕するほど、景気や企業業績は急速に悪くなる」と予想している。もし、その予想が反対側に外れても「景気や企業業績は堅調だが、そのため期待しているほどの金利低下は起こらない」となるはずだ。
一般的な市場解説では、先週(1月第2週)末にかけては「アメリカの昨年10~12月期の企業決算が好調に推移しそうだ」と唱えられ、同国の株価は堅調に推移した、などとされている。しかし、これは本当だろうか。
代表的な指標であるS&P500種指数採用銘柄の1株当たり利益の予想集計値(アナリストの個別予想値を調査会社ファクトセットが集計したもの)を見ると、昨年8月末や9月末時点では前年比9.0%増益が見込まれていた。ところが、その後は10月末4.9%→11月末3.6%→12月末1.9%→今年1月12日時点1.2%と、下方修正が止まらない。
マクロ経済統計ではまだ同国経済が堅調なように見えても、企業担当のアナリストは、担当企業を取材して、企業の生の声を拾っている。実際は企業の現場の従業員が「わが社の製品やサービスの売れ行きが悪い」「来店客が買い渋るようになった」「注文が減っている」といった肌感覚を持ち、それが管理職を通じて経営に上がった声を、アナリストが利益予想に反映しているのだろう。
ちなみに、今年1~3月期の増益予想値についても同様の傾向だ。昨年8月末時点から直近の1月12日までの数字を並べてみると、以下のようになる。9.4%→9.3%→8.0%→7.5%→6.7%→6.3%と、やはり下方修正の連続だ。
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