急騰している日本株が今後暴落しないか心配だ 楽観しすぎの米国株、日本経済も黄信号が点灯
東洋経済オンライン / 2024年1月15日 9時30分
しかし現実には、グローバルに運用する投資家の場合、たとえ当初の悪材料がアメリカ独自のもので、それによって同国の株価が下落した場合であっても、リスク資産全般について消極的な姿勢となり、その結果、日本で悪いことが起こっていようといまいと、他国株と同様に株式保有高の縮小につながる、ということが多い。
陰る外需、内需もピークをすぎて日本経済は黄信号状態
日本経済についても、徐々に警戒信号が灯っている。まず、外需(輸出)の陰りは以前からだ。輸出数量指数を見ると、すでに2021年秋から前年比ではしばしばマイナスへと陥り始めた。2022年10月から直近のデータである2023年11月までは、例外的に昨年9月だけプラス(とはいっても0.7%増にすぎない)に転じた以外は、すべて前年同月比で減少を記録している。
確かに、円で測った輸出金額の前年同月比は、円安によって外貨建て輸出の円換算額が水膨れすることで、何とか増勢を保ち続けてきた。だが最近では、昨年7月、8月、11月と、前年同月比マイナスだ。
また、輸出金額を国別に見ると、中国経済の悪化で同国向けの輸出が不振で、12カ月連続の前年同月比減を記録している。欧州経済はパっとしておらず、これにアメリカの景気後退が重なってくると、ますます日本からの輸出は苦しくなるだろう。そうなると、ここに円高が乗ってくる可能性が高いわけだ。
とすると、相対的に期待されるのは内需だろう。引き続きインバウンド(訪日外国人)観光客が増勢にあることも支持材料だ。多少円高になっても、日本への観光の魅力はそれほどは衰えまい。来る春闘でも、それなりの賃上げは期待される。
しかし、内需系の産業の最前線で働いている人たちに景況感を尋ねた景気ウォッチャー指数について、最近の指数の動きを見てみると、足元の景況感を示す現状判断DIは、昨年5月の55.0をピークにおおむね低下傾向にあり、10月と11月にはともに49.5まで下押しした。そこから直近12月は50.7にやや持ち直したが、戻り幅は限定的だ。
また、今後の景気見通しを示す先行き判断DIは、昨年4月の55.7をピークに10月の48.4まで低下。11月は49.4にやや戻したものの、12月は再度49.1に悪化している。
では、経済の最前線で働いている人たちは、なぜ足元で警戒的になっているのだろうか。
1つは、コロナ禍の鎮静化によって、いわゆる「リベンジ消費」が一時盛り上がったが、これまでできなかった旅行や行楽などの達成感がいったんは生じているのかもしれないと考えているからだろう。その点では、今後もリベンジ消費に頼ることは難しく、やはり「賃金と物価の好循環」が必要だ。
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