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起業を夢見る家族がChatGPTを使い号泣した理由 AIに代替できない人間の「創造性」を問い直す

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 17時0分

人間はAIとどのように向き合うべきか(写真:Graphs/PIXTA)

近年、クリエーティブやビジネスの場面でのAI活用が増えています。AIには効率的で素晴らしい面がある一方で、問題点も山積みです。ビジネスデザインを専門とする野々村健一氏は、実はAIを使う側の人間にこそ状態のケアが重要だと語ります。

※本稿は野々村氏の新著『問いかけが仕事を創る』から一部抜粋・再構成したものです。

AIは「クリエーティブ」になれるのか?

クリエーティビティーとはなんなのでしょうか?

ここで唐突に、非常に大きな問いを投げかけてしまいましたが、先日講演をさせていただいた際に、このような議論になったのです。少し前までは、この部分は感覚や直感、感性といった、ある種ブラックボックス化されたエリアとして人間の聖域でしたが、今年に入ってから次のような興味深いことが起こり始めているのです。

ある写真のコンテストで優勝した作品がAIによるものだと判明したのです(作者は結果的に賞を辞退しました)。また、アーティストのDrakeとThe Weekndの声をAIを使って模倣して作成された楽曲がヒットする(その後、著作権侵害を理由に配信停止)など、「AIが作ったものは人間の感性に訴えかけない」という論調は、脆くも崩れ去りました。

他にも、画像生成AIを活用して実在しないインフルエンサーを作成し、多くのフォロワーを獲得するなど、個人レベルでもさまざまな社会実験が行われています。

グラミー賞はAIだけで作詞作曲されたものについては受賞対象外とすると発表していますが、これは私たちが今問われている点に関係する動きです。つまり、人が作ったものであればクリエーティブな価値があるのか、それとも人が「良い」と感じれば価値があるのか――この議論は非常に盛り上がりました。

そもそも人間の持つ「クリエーティビティー」というものが新しいものを創出する力で、それが人間の認知を超えたところでの情報の結合で起こるものだと考えると、究極的には人間の認知能力を超える可能性のある生成AIにも代替可能なのではないかと考えられます。しかし、それまではまだ少しだけ猶予があるのかもしれません。

五感で感じることの重要性

ここで、「今後、より重要になる」と感じている要素を挙げておきます。
「身体性」「共感性/好奇心」「価値観のアップデート」「未来を想う力」です。

まず当たり前かもしれませんが、現段階では、実際に自分の身体、五感を使って感じるということは生成AIに代替されない部分であり、引き続き重要性を持つものです。コロナ禍後、すっかりリモートワークが定着した時代に皮肉な話ではありますが、“現地現物”の重要性は高まるでしょう。

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